恋愛や人生で迷い悩んだ時にヒントをくれる、宝物のような言葉たち『ハチミツとクローバー』/斉藤朱夏のしゅか漫画⑭
公開日:2023/2/18
今回紹介するのは羽海野チカ先生の『ハチミツとクローバー』(集英社)。
漫画やテレビドラマ、映画、アニメ、みんな一度はどこかでは触れていると思う。
ほんの少しだけ大人になった今、改めてこの作品を読むことで
前と感じることが違うだろうかと思って手にした。
美術大学を舞台に描かれる、「登場人物全員片思い」の切ない青春ラブストーリー。
物語は、温かくて面白く描かれているが、
時折触れたら壊れてしまいそうな切ない場面がある。
なんでこんなにも苦しいのにみんな前に進むのだろうと思うと心がずっと痛かった。
恋愛以外にも自分とぶつかって視野が狭くなった時に、解決のヒントになる宝物のような言葉がたくさんあった。
周りが見えなくなっている時こそ、人と話すことで気付けることもあるし
会話の中で自分が一番ほしい言葉が、意外と自分の口から出てしまったり
なんだか人間って不思議だなって思う。
大切な人を目の前にした時、いろんな言葉が浮かび上がってくるけど
結局その言葉は宙に舞ってしまうだけ。
そして、なんて事もないことを聞いてしまう。
どうしてその言葉にしたのかは、自分が一番理解しているし
どんな答えが返ってきても、結局終着点は知っている。
ここまで書いていて、あぁ、苦しいよ。って心の中でつぶやいた。
作中にこんなセリフがあった。
「逃げないで一緒にあがこう」「逃げ出すのは一瞬で できるから」
この言葉が強く心に残った。
今まで自分が積み上げてきたものを自分で壊すってこういうことだよなって。
もちろん今何かに逃げたいわけではないけど、
もしそのタイミングがきたら
きっとこの言葉を思い出すんだろうなって。
努力って目には見えないから
自分が成長しているのかも努力が身になっているのかもわからない。
けど、後からついて来てくれる。
それをどれだけ信じて走れるかが大切だし、
そこから目を背けるのはとても怖いなとも思った。
こうしてお話の中でいろいろなヒント、光と影を見せてくれる物語
それが『ハチミツとクローバー』。
今、片思いをしているあなたと、
人生ってなんだろう、自分ってなんだろうと
思い悩んでいるあなたにおすすめしたい。
きっと読み終わった頃には「なんだ、自分ってまだまだじゃん」とか、
大切なあの人に言葉に出して気持ちを伝えたくなるはず。
色褪せない物語、どんなに時代が変わって読んでもきっと共感が生まれると思う。
<第15回に続く>【この記事で紹介したマンガ】
『ハチミツとクローバー』
(羽海野チカ/集英社)