AKB48武藤十夢さん特別審査の作品も!【全国老施協開催】第15回「介護作文・フォトコンテスト~つながり・絆をもう一度~」受賞作を発表

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公開日:2023/3/6

 ※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2023年4月号からの転載になります。

介護作文・フォトコンテスト 第15回

 全国老人福祉施設協議会が主催する「介護作文・フォトコンテスト」。本コンテストでは、毎年福祉介護にまつわる作文・エッセイ、写真、キャッチフレーズ、手紙の4部門の作品を募集。15回目の開催を迎えた今回は、全部門で6329点と過去最大の作品数が寄せられました。その中から入選された作品の一部をこちらでご紹介いたします。

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コンテストの趣旨

第15回を迎える今年のテーマは「つながり・絆をもう一度」。少しずつコロナ禍の状況が改善されつつある現在、福祉介護施設において、おじいちゃん、おばあちゃんと「会う」「話す」機会も増えてきました。今回は、おじいちゃん、おばあちゃん、介護従事者の方々との「つながり」「絆」を今一度深めていきたいという思いを込めて作品が募集されました。

作文・エッセイ部門

岸本葉子さん

審査員

作家・エッセイスト 岸本葉子さん

一般部門 最優秀賞 言葉の力(福岡県/森山さん)

 私はスーパーで夫と一緒に買い物中、激しい頭痛に襲われ買い物カートごと倒れ、救急車で搬送された。動脈瘤が破裂したくも膜下出血だった。搬送の途中で呼吸が止まり、瞳孔もかなり開いた状態だったが、救急医療スタッフのおかげで一命をとりとめることができた。

 三カ月の間に合計四回の手術を受けた。主治医は夫に、家には帰れても社会復帰は難しいでしょうと伝えていたので、夫は自宅のバリアフリーや手すりの設置を行なっていた。

 主治医から奇跡のレアケースと言われるくらい、幸いにも目立つ身体の麻痺や言語の障害もなく、リハビリに専念することになった。夫は記憶が錯綜する私を支えようと、治療を時系列でまとめてくれたり、日々の事柄を細かく記録してくれたりした。

 入院三カ月目の日、リハビリの効果があるのかないのか、いつになったら退院できるようになるのかと落ち込む日があった。見舞いに来てくれる夫に感謝するも申し訳ない気持ちの方が大きくなった。このまま元気になれなかったら、私はこの人に介護という重荷を背負わせるのだろうかと不安でもあった。

「ごめんね、今日で三カ月になるね。」

とベッドに座って言う私の横に座り、夫がこう言ってくれた。

「こんなこと言うと不謹慎かもしれないけど、僕はあの日、由実さんが新しい命をもって生まれてきてくれたと感じているよ。手術室から出てきたベッドで寝ている由実さんが大きな赤ちゃんに思えた。」

 二人の間に子供が授かった時と同じように、「今日は目が開いた」「手を振り返した」「一人でトイレに行けた」と、私のできることが一つずつ増えるのが嬉しいという意味だった。

 私はこの時ほど、言葉の力は素晴らしいと感じたことはない。介護される申し訳なさを取り払う力がある。私がリハビリを頑張ることが、介護者の喜びに繋がり、それが毎日の幸せだと感じてくれる。

 完全復活ではなくても、毎日を一生懸命生きようとしてくれている君を介護することで僕は幸せを感じると伝えてくれた夫に感謝している。誰かから必要とされることがこんなにも生きる力になるということを、元気な時には気が付かなかった。

 言葉は大切なものです。相手がその意味を理解できない赤ん坊でも介護老人でも、発する事で優しさや温かさが伝わっていく。リハビリのトレーニングや服薬と同じかそれ以上の介護の力を「言葉」は持っていると思います。

フォト部門

山田真由美さん

審査員

カメラマン・介護福祉士 山田真由美さん

最優秀賞 「4世代、想い出つなぎうなぎ」(愛知県/ひ孫のせいまさん)

最優秀賞 「4世代、想い出つなぎうなぎ」(愛知県/ひ孫のせいまさん)

受賞者コメント:祖母が子どものころママと外食したという想い出の鰻のお店を、がんばって探し出しました。コロナ禍でテイクアウトをしていたので、奇跡的に届けることができました。80年ぶりの想い出の鰻をあっさりひ孫にあげるおばあちゃん。ありがとう。

優秀賞 「おうちで美容室」(長野県/えりぱんなつこさん)

優秀賞 「おうちで美容室」(長野県/えりぱんなつこさん)

受賞者コメント:春の暖かな陽ざしの縁側で、母が祖母の髪を切っているところ

優秀賞 「BEAUTY DAY」(兵庫県/須广さん)

優秀賞 「BEAUTY DAY」(兵庫県/須广さん)

受賞者コメント:コロナ禍で外出の制限がある中少しでも楽しんで頂けることは何か、懐かしんで頂けることは何かを考え、ご自身で服を選んで化粧をし写真撮影会をする「BEAUTY DAY」を発案して実施いたしました。利用者様で泣いて喜ばれる方もいらっしゃったり、ホームページ内の投稿でも好評であり実施出来て良かったと感じています。

キャッチフレーズ部門

勝浦雅彦さん

審査員

コピーライター 勝浦雅彦さん

最優秀賞

「きっと大丈夫よ」って、車椅子を押す私が、背中を押されていた。

(東京都 むーむーさん)

優秀賞

ひとりでは、歩けないこと。それは私も同じでした。

(神奈川県 ネッコさん)

優秀賞

私は介護なんてされたくなかった。あなたが介護してくれるまでは。

(静岡県 やんさん)

手紙部門

審査員

作家・エッセイスト 岸本葉子さん

最優秀賞

「だいすきだよ」っておばあちゃんからの手紙。字が震えていた。目が悪くなり、手は震えているのに頑張って字を書いてくれてありがとう。たった6文字だけど愛を感じれたし、今もずっとお守りです。

(兵庫県 まよさん)

優秀賞

「生まれて初めてやったわ」とニコニコと話してくれるお母さん。こんなにデイサービスを楽しんで通ってくれるとは。もっともっと「生まれて初めて」の経験をたくさんしてね!

(神奈川県 義理の娘さん)

優秀賞

戦時中じゃが芋ばかり食べてたから芋は二度と食べない、と言いながらマックのポテトが1番の好物だったおばあちゃん。あなたの月命日には孫や曾孫が集まって仏壇の前でポテトを食べてるよ。美味しい匂い、届いてる?

(大分県 サトウミホさん)

武藤十夢賞

武藤十夢さん

AKB48の武藤十夢さんも特別審査!

「幸せな魔法」とても素敵な言葉で、どんなものよりもパワーをくれるその魔法を信じて、これからもあおままさんが前に進めたらいいなと感じました。

どんな時でも別れ際には「あっこちゃんは幸せになるよー」と手の甲にキスをしながら言ってくれた。辛い時その声がしたり、手の甲を見ると力が湧くのはそのおかげ。幸せの魔法をありがとう。

(東京都 あおままさん)

他の作品はこちらからご覧ください▶https://roushikyo-digital.com/kaigo-contest/2022/prize_writing.php