野菜の悩みに答える! 人気スープ作家・有賀薫さんが教える、簡単・楽しい・おいしい野菜のレシピ90品
公開日:2023/3/11
ひとり暮らしでも、家族の食事を作る人にとっても、毎日の献立を考える上で気になることのひとつが、野菜の食べ方だ。健康のために野菜を食べたいけれど、マンネリ化してしまったり、使いかけの野菜をどうしても余らせてしまったりして悩む人が多いのではないだろうか。そんな人の助けになるだけでなく、野菜料理の楽しさを教えてくれるのが本書『有賀薫のベジ食べる!』(有賀薫/文藝春秋)だ。
著者は、『帰り遅いけどこんなスープなら作れそう』(文響社)で「料理レシピ本大賞」の入賞を果たすなど、スープ料理を中心としたレシピの発信で活躍する料理家・有賀薫氏。家族の朝食にスープを作り始めたことをきっかけに「スープ作家」となった有賀氏は、簡単でおいしく栄養豊富なレシピを考案し人気を集めている。
本書はそんな著者が、スープ作りから見つけた、野菜をおいしく食べるためのレシピを紹介した1冊。「野菜料理のレパートリーが少ない」「家で作るランチでは炭水化物をとりすぎてしまう」などの野菜にまつわる料理の困りごとを伝えつつ、野菜をとりやすい「野菜3品の煮るだけスープ」や、野菜を足した主食の「ライトに食べたい野菜ごはん」などのテーマ別に、シンプルな手順で作れる90のレシピを紹介している。
毎日料理を作る人にありがたいのが、「野菜ひとつを食べる一皿」のパートだろう。にんじんを蒸してタレで食べる「しっとり蒸しにんじん」や、つまみにもなる「長ねぎじゃばら焼き」、レンジで作れて1玉食べきれる「びろーどレタス」など、簡単かつ素材の味を楽しめる野菜レシピが豊富。「野菜をプラスしたい」「何かもう1品作りたい」「冷蔵庫に余っている野菜を使い切りたい」という、3つの問題がクリアできて便利だ。
野菜料理も加えたいけどもう1品作るのが大変という人にとっては、「野菜が主張するメインディッシュ」や「ライトに食べたい野菜ごはん」の章で紹介されている、主菜や主食に野菜を大胆にプラスしたレシピが重宝する。
焼いた魚や肉にのせるだけで栄養バランスがとれたメインになる「かけるレモンきのこ」や、輪切りのにんじんをたくさん食べられる「にんじんの重ね煮シチュー」、野菜をたっぷり使った「トマトと春菊の鶏すきやき」などは、野菜を加えることで見た目も華やかになり、ごちそう感がアップ。料理を前にした家族の良い反応も期待できる。小松菜を1パック使い切る「小松菜だけのあんかけ焼きそば」や、「みょうがと豚こまの炒めそうめん」など、野菜をふんだんに使った麺類やご飯ものも、主食だけになって栄養が偏りがちな平日のランチに活躍しそうだ。
とにかく本書のレシピの最大の魅力は、「野菜はおいしい」と再確認できること。ナンプラーやチリパウダーなど余らせがちな調味料も活用した味付けに加えて、粉をつけて焼くことでうまみを閉じ込めたり、蒸して甘みを引き出したりといった、野菜のおいしさを楽しむ工夫がふんだんに盛り込まれている。満足感の高いレシピを気軽に作れて、家にある野菜も効率的に消費する知恵を得られる、そんな本書をキッチンに置いておけば、「野菜を食べなきゃ」という義務感から解放され、野菜料理を心から楽しめるだろう。
文=川辺美希