母の偉大さと命の尊さ。あらためて考えたい、生きることとは 『あの子の子ども』/斉藤朱夏のしゅか漫画⑮
公開日:2023/3/18
人生には知らないことがたくさんある。
いざそれらを目の前にした時、自分はこんなにも知らなかったんだと気づかされる。
今回紹介するのは『あの子の子ども』(講談社)。
蒼井まもる先生の作品で、「女子高校生の妊娠」がテーマだ。
この漫画には私の知らないことがたくさん描かれていた。
学生はいち早く、そしてもちろん大人にも読んでほしい作品。
私の周りでもすでに子どもを授かり、お母さんになった友人がいる。
お母さんになる、家族になるって簡単な話ではないなと強く思った。
妊娠してしまった主人公の福(さち)の母親が個人的にグッときた。
福が妊娠を打ち明けた時に「自分でしたことは自分で責任をとりなさい」というセリフ。
高校生だとしても、その子の人生であるからこそ、産む、産まないの選択権を福に預けたこと。
妊娠してしまったことに対して焦りや不安がある中で、自分とそして幼なじみで彼氏である宝(たから)と選べという。
どんなことをしてどうしてこうなったのかを
改めてしっかりと考えさせるのだ。
教えてもらうのも大切だが、自分で考えることも必要。
その中で出てくる覚悟や答え。
けれど人生には正解や不正解はないから、私たちは常に悩み葛藤するのだと思う。
悩んでいても明日が来てしまう。
自分にできることはなんなのかを考える。
笑える未来にするためには
自分がしたことに責任を持たないといけない。
そして話数が進むごとに母親の偉大さに胸を打たれる。
不思議と母親に、今の自分を知ってもらいたくなった。
妊娠がテーマだからこそ、命がどれだけ尊いものなのかも訴えかけられ、
読んでいて心がギュッと締め付けられた。
お腹の中の赤ちゃんが少しずつ成長していく姿を愛おしく思い、
心臓の音を聞くことで赤ちゃんとコミュニケーションができること。
神様が授けてくれた大切な命だからこそ、生きることに対して考えさせられる。
自分とは。
自分の周りにいる人とは。
きっと考えたらキリがない気がするけど
生きること、命のことを考えながら読んでいった。
母親の偉大さ、命の尊さ。
私たちがちゃんと知っておくべきことがリアルに描かれている。
男女問わずいろんな世代の方に読んでほしい。
そしてもし、福と同じ境遇になってしまったとしたら
あなたは決して一人ではないということを教えてくれるはずです。