【いじめ・10代の悩みを描いたマンガ5選】親としての向き合い方、つらい過去を乗り越えるきっかけにも

マンガ

更新日:2023/3/29

 幼少期や学生時代の思い出は必ずしも楽しいものだけとは限りません。人間関係や、家庭環境・性の悩みで苦労したというケースもあるでしょう。本稿では、いじめや10代の悩みをテーマにしたマンガ5作品を紹介します。悩んだり苦しんだりしながら、困難に立ち向かっていく姿に共感できるとの声が多い作品です。いじめについて改めて見つめ直したり、悩んでいた過去を振り返ったりするきっかけにしてみてはいかがでしょうか。

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高校時代のいじめを振り返ることが、今の自分を変えるきっかけに!

 学生時代の人間関係はとても狭く、学校の友達が世界の全てといってもいいくらい。もし、その友達とうまくいかなかったら…。

 本作品は高校時代に仲良しグループのメンバーから無視され、いじめに発展していった経験を描いたコミックエッセイです。クラスで目立っている憧れの女子グループに入り喜んでいたのも束の間、グループのリーダー的存在の女子から目をつけられる主人公ユイ。些細なことがきっかけでいじめにエスカレートしていくが、いじめの当事者たちには大きな罪悪感はなくて…。

 以前はなかったSNSを通じたいじめや、いじめのターゲットにならないようグループのメンバーが保身に走る様子がリアルに描かれています。大人になった主人公は、過去を振り返ることで自分を癒すことができるのか…。いじめを経験した主人公が自分への呪縛を解くまでの物語です。

我が子を守りたい親必見! 子どものいじめに立ち向かうには…?

家族全員でいじめと戦うということ。
『家族全員でいじめと戦うということ。』

 もしも自分の子どもがいじめを受けていたら――。

 小学5年生の姉ハルコと1年生の弟フユタを育てながら何の変哲もない日常を送るナツミ。そんな彼女の生活は、「お姉ちゃん、学校でいじめられてるんだって」と言うフユタの言葉で一変します。いじめの疑念は確信に変わり、事実を知るたびに愕然とするナツミとその家族。いじめに耐え、幼いながら健気に振る舞うハルコの姿には胸が締め付けられます。

 著者のさやけんさんが、友人から打ち明けられた実話をマンガ化し、SNSにあげたことで話題になっている本作品は、親として大人としてどう立ち向かうのが正しいのか考えさせられる作品です。

なりたい自分になっていい! 自分を変える勇気をくれる1冊

 自分の意に反して、周囲から求められるキャラクターを演じてしまう…そんな経験はないでしょうか。

 本当は嫌で仕方ないのに、過去に受けたいじめの記憶から、嫌われるのが怖くて“いじられキャラ”を演じる主人公うめこ。自信がなくて容姿をからかわれることにも甘んじていた彼女が、友人の言葉をきっかけに成長していく様子を描いた実録コミックエッセイです。なりたい自分を生きることの大切さに気付かされる1冊です。

あなたは独りぼっちでいる勇気がありますか?

ボッチだった6ヶ月間 (とその後)
ボッチだった6ヶ月間 (とその後)』(都会/KADOKAWA)

「ボッチ」。一匹狼のような、ともするとクールな印象すら与える言葉のその実は、学校においては、いじめとニアリーイコールなのかもしれません。

 4人組グループに属していた主人公は、あることをきっかけに他の3人から無視されて、独りぼっち=ボッチになってしまいます。壮絶ないじめはないけれど、そこにいないかのように扱われ、ボッチで過ごす中学卒業までの半年と、高校生になりボッチになるのではという不安に揺れ苦悩しながら、人間関係から解放され良い意味でのボッチになるまでを脱力系のイラストで描いたコミックエッセイです。

つらい経験を乗り越えたからこそ今がある。

 多感な10代の時期に何に悩みどうやって乗り越えてきましたか? 本作品で描かれるのは、フォロワーさんから寄せられたいじめられた体験や人間関係、性の悩み、家庭環境等でおきたつらい経験を著者のしろやぎ秋吾さんがマンガ化したものです。

 つらい経験だけでなく、どのように乗り越えてきたのかも描くことで、多くの人から共感を得ています。そんなことがあったなと振り返っているのは、当時悩み苦しみながら踏ん張っていたあの頃の自分がいたから。過去の自分を褒めてあげたくなるような作品です。

 本稿で取り上げた5つの作品は学校の中でのいじめや10代の頃の悩みをテーマにした作品ですが、そういった問題はどの年代やどの組織においても、ついて回るものです。社会問題にもなっている難しいテーマではありますが、マンガだからこそ読むことができる――。今悩んでいる人にとって共感できる内容だったり、独りじゃないと勇気を与えてくれたりするでしょう。そして、自分の周りを改めて見直して、悩んだり苦しんだりしている人はいないか、自分には何ができるかを考えるきっかけになるかもしれません。

文=鈴木美穂