SNSで超人気! 「新しい教師像をめざず現役小学校教員」が教えてくれる、小学校を快適に過ごす術
公開日:2023/3/30
世の中はどんどん変わっていく。自分の子どもたちが大人になるころには、今ある職業の多くがなくなっているという噂も聞く。
では、親は子どもをどう導けばいいのだろう? 学校に任せていればなんとかなるのだろうか? そもそも、学校は世の中の変化に対応しているのだろうか。こんな不安を抱く親は多いだろう。
「だからこうすればいい」の明快な答えがないよるべなさ。それでも、「今、小学校はこんな風に変化しています」「学校の先生はこんな状況におかれ、こんなことを考えています」「保護者は子どもにこんな働きかけをしてみては」と、現役の小学校教員から教えてもらえたらどんなに心強いだろう。“さる先生”としてSNSでも影響力を持つ坂本良晶さんは、マイクロソフト認定教育イノベーターとしても活躍中。『親子で知りたい 小学校最強ライフハック70』(坂本良晶/KADOKAWA)には、そんな心強いヒントがたくさん記されている。
令和の小学校事情を大解剖!
明治から100年近く変わらなかったとされる日本の小学校の授業形態は、ここに来て大きく変わってきたという。きっかけは、コロナ禍。以前から政府は「GIGAスクール構想」を持ち、子どもひとりに1台のタブレットを支給して授業の形を進化させようとしていた。その動きが、登校不能となったことをきっかけに一気に加速したのだ。
タブレットは今や鉛筆や消しゴムと並ぶツールとなり、これを活用した「個別最適な学び(子どもそれぞれのレベルや興味に合わせた学び)」と、「協働的な学び(同じデータを更新し合いながら協働し相互評価できる)」が可能に。子どもは、受け身で聞いた内容を暗記するだけではなく、これからの予測不可能な未来を生きるために必要な創造性や議論する力など身につけていくことになる。
「ということは、保護者は子どもにどのような働きかけをすべきなのか?」に関しても、すべての教科について本書は触れてくれている。漢字ドリルをひたすらやらせることが有効なのか? それとも自然の中に連れ出していろいろな経験をさせるのか? ゲームは敵なのか? 逆上がりの練習を徹底的にやらせることに意味は? プログラミング教室に行っておかないとだめ? 性教育はどうすればいいの?
不安になりがちな保護者にとって、それぞれの教育の形を模索するためのヒントが得られることだろう。
わが子がやりがいのある職につくために
そもそも教育の目的はなにかと考えてみれば、社会のためとかいろいろあるが、親からすれば「子どもが幸せな人生を歩めるように」の一心だろう。幸せの定義はさまざまあれど、「やりがいを持って仕事にあたれる」ということは多くの人にあてはまる理想のひとつ。
前職が某大手回転寿司チェーン店の凄腕店長だっただけあって、著者の職業に関する見解と、そのために子どもと親がどこを向いていけばいいのかについても言及されている。
2015年に最も必要とされていたスキル「注意深さ・ミスがないこと」は、今後テクノロジーの発展によって補われる。そして技術とサービスが発展しつくされた2050年には、解決すべき“消費者が抱える問題”は少なく、飽和状態であり商品開発がより難しくなっているだろう。だからこそ、必要とされるスキルは「問題発見力」になっているのだ。坂本氏は、保護者世代が必要とされたものと、子どもたちが必要とするスキルは違うことへの認識を促している。かといって、今子どもが必要とする読み書き計算の基本はとても大切だということも話す。
今、大人も子どもも問われているのは、未来への視線と、それを踏まえたバランスのようだ。
文=矢島史