「カムバック」「チッケム」「エンディング妖精」…推し活がはかどる韓国語の推し活単語&フレーズ集
公開日:2023/3/31
K-POPや韓流ドラマ、韓流映画。世界を席巻する韓国のコンテンツの中に推しを見つけ、それをキッカケに韓国語を勉強し始めたという人も多いことだろう。だが、勉強すればするほど、歯痒い。他国の言葉を正しいニュアンスで使いこなすことほど、難しいことはない。いくら辞書を引いても推しが発する言葉を正しく理解できていない気がしたり、いくら翻訳ツールを駆使しても推しへの愛を上手く表現することができないように思えたり。もし、「推し活」用語を、上手く韓国語で表現することができたらどんなに良いことか。推しに真っ直ぐ思いを伝えられるし、推しへの思いを韓国のオタク仲間と共有できれば、もっともっと「推し活」を満喫できると思うのに……。
そんな韓流コンテンツの中に推しを持つすべての人にオススメしたいのが『世界が広がる 推し活韓国語』(柳志英・南嘉英:著、幡野泉・劇団雌猫:監修/Gakken)。昨年発売され、大きな話題を呼んだ『世界が広がる 推し活英語』(劇団雌猫:監修、学研プラス:編/Gakken)の姉妹本だ。この本では、韓国人のエンタメオタク全面協力のもと、韓国エンタメの「推し活」でよく使われる367語・517フレーズをセレクト。それを韓国の「推し活」事情とあわせて教えてくれるから、実用的な語学書としてはもちろんのこと、韓国の文化を理解するための読み物としても楽しい1冊だ。
ページをめくれば、韓国のユニークな「推し活」文化を反映した用語・フレーズが次から次へと目に飛び込んでくる。たとえば、韓国のアイドルは、新曲を発表してから1カ月弱の間、精力的に番組出演などを行う「カムバック」と呼ばれるプロモーション活動を行うが、それは韓国語では「컴백(コmべk)」というらしい。
K-POPファンなら、1台のカメラでアイドルのパフォーマンスを追いかけた映像「チッケム(=직캠(チkケm))」や、ファンたちが推しの誕生日を祝う広告を合同で出したりイベントを開催したりする「サポート(=서포트(ソポトゥ))」、パフォーマンスが終わるとき、最後にカメラに映るメンバー「エンディング妖精(=엔딩 요정(エンディン ニョジョン))」という用語もおさえておきたいし、「エンディング妖精、優勝してる(=엔딩 요정 짱이다.(エンディン ニョジョン ッチャンイダ))」なんてフレーズはスラスラと言えるようになりたい。その他、ファンがよく使う表現には、「花道だけを歩こうね(=꽃길만 걷자.(ッコッキrマン コッチャ))」というものがある。これは、アイドルが厳しい練習生時代や熾烈なオーディションを経てデビューするとき、また、根拠のないスキャンダルやアンチからの攻撃に悩んでいるときに、「これから先の人生は、いいことだけがありますように」という願いを込めて使われるもの。どの用語・フレーズも、一般的な語学書には載っていないものばかりだ。
そんな韓国の「推し活」ならではの言葉もあれば、日本で使われるフレーズと似ているものも少なくはない。たとえば、韓国語の「오덕후(オドク)」という用語は、日本語の「オタク」という言葉がもとになったもので、「덕후(トク)」、さらには「덕(トk)」と略され、沼に落ちて沈みゆくように推しにハマってしまう「沼落ち」は、「入る(입)」+「オタク(덕)」で、「입덕(イpトk)」と表現されるのだという。日本のオタクの間でも、推しの素晴らしさを前に思考が止まってしまうことはよくあることだが、それは韓国のオタクも同じことらしく、そんな時は「語彙力の限界(=어휘력의 한계.(オフィリョゲ ハンゲ))」というフレーズが用いられるそうだ。また、生放送やコンサートで、アーティストがCDで聞くのと遜色ない、もしくはそれ以上の歌声を披露したとき、日本のファンは「口からCD音源だった」などと言うが、韓国のファンは「CD飲み込んだかと思った(=CD 삼킨 줄.(シディ サmキン ジュr))」と表現する。国は違えど、オタクたちの感じかたはどこか似通っていて面白い。
推しが使う言葉から推しに言いたい言葉、オタ友との交流、運営とのやりとりに使える言葉まで、この本では、幅広い場面で使える用語・フレーズを教えてくれる。ファンレターの書き方や運営へのフォーマルなメールの書き方まで網羅されているのも嬉しい。知らなかった語句を知るにつれて、何だか推しに近づけたような気分。あなたもこの本とともに、韓国語を学んで、もっともっと韓流「推し活」を満喫してみませんか?
文=アサトーミナミ