まさかの赤点をとってしまい、母親になんて言い訳しようかと考えながら補習授業の教室へ向かうと、教室から中学生レベルの内容で苦戦している声が聞こえてきた。その声の主は、なんと才色兼備で話題の人気アイドル・黒宮玲。実は彼女、勉強にまったくついていけていなかったのだ。しかも「アイドルやるの許す代わりに必ず学業も両立させなさい」というのが母親からの言いつけで、このままではアイドルを辞めさせられてしまうかもしれなくて――!?

　アイドルのレッスンへの時間が差し迫る中、勉強が進まない玲に、ひざしは「よかったら一緒に問題解いてくれませんか？」と提案。一緒に勉強し、どうにか時間までに課題を終えたのだった。そしてこの件がきっかけで、放課後の補習中、ひざしは玲に勉強を教えることに。そこから2人の仲が進展していく。

　日々メディアに取り上げられ、キラキラと輝き、ファンに希望を与えているアイドルとしての玲は、変わらずに存在している。一方、放課後2人きりの補習授業の間は、玲は決して天才でも完璧でもない、普通の女子高生としての素顔を見せる。ひざしはそんな玲との距離の近さ、そしてギャップにドキドキしながらも、力になりたいと彼女を支えていく。しかし普通の顔をしていても、玲はやっぱり人気アイドル。時折覗かせる「特別な女の子」としての一面もまた、たしかにあるのだ。

　高校生という思春期真っ只中にある2人の、人より少し振れ幅の大きい強さと弱さ。この不安定な関係、日常と非日常の入り混じる人生に、見ているこちらまでドキドキさせられる。また、回が進むにつれて、ひざしと玲の距離がいろんな意味でどんどん近くなっていく。そしてついに、2人きりでカラオケへ行くというイベントも発生――!?

　玲は無事成績を上げ、アイドル活動を続けることができるのか。ひざしと玲の関係は、今後どうなっていくのか……。また作中で時折登場する、玲と電話やチャットでやり取りをしている美少女「そら」の存在も気になるところだ。引き続き彼らの動向を、関係を見守っていきたい。

文＝月乃雫