映画で俳優がスタントマンに代わっていることに気づかないのは、脳のせい?/からだのなかのびっくり数事典
更新日:2023/4/24
大人気「びっくり事典」シリーズ最新刊『ざんねん? はんぱない! からだのなかのびっくり数事典』(こざきゆう:文、加納徳博:絵、奈良信雄:監修/ポプラ社)。 今回は体にまつわるおどろきの「数字」を紹介! 「初めて会う人が好きかどうか決まるまでわずか1000分の1秒!?」「人間の感情の数は27種類」など、からだにまつわるさまざまな数字。雑学として思わず誰かに教えたくなること間違いなし!
※本作品は『ざんねん? はんぱない! からだのなかのびっくり数事典』から一部抜粋・編集しました
今、見ている世界は過去15秒間に見た世界を平均したもの
映画の危険なアクションシーンで、スタントマンが俳優の代わりに演じることがある。でも、映画を観ている人は、俳優がスタントマンになっていることに気づかない。なぜなら、それは脳のせいだからだ。
もし脳がいつもリアルタイムに見た情報をすべて処理するとしたら、見えているものは、スマホのカメラをもったまま歩いて撮影した動画、みたいな感じになる。
これでは脳も情報処理が大変だし、ガチャガチャして、見る側も大変。
そこで、見ている世界が不安定にならないよう、脳は、過去15秒間に見ていた景色の様子を平均化して情報を整理しているのだという。つまり、バラバラの視覚情報を、似たものに見えるように、脳がまとめ作業をしてくれるのだ。
それによって、目に入ってくる情報を安定させ、日常生活に問題が起こらないようにしてくれているってわけ。映画でスタントマンに気づかないのも、微妙な変化で混乱しないよう、平均化したものを脳が見せるからだ。
脳は少ない労力で視覚情報を処理している
脳が過去15秒間に見た世界をまとめるはたらきは、サボって楽にしている、といえるかも。というのも、視覚情報をすべて同時に処理するのは労力がかかるから。そんな苦労をしなくても、平均化した景色で生活にほぼ支障はない。こうすることで、正確さをすてて、効率的に、スピーディに処理しているんだ。