松村沙友理さんが選んだ1冊は?「友人の恋バナを聞いているようなリアルさ。男性側の感想も聞いてみたくなります(笑)」

あの人と本の話 and more

公開日:2023/5/15

 ※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2023年6月号からの転載になります。

松村沙友理さん

 毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、松村沙友理さん。

(取材・文=倉田モトキ 写真=booro)

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「別れやすれ違い、浮気や不意に訪れるトキメキ―。いろんな恋愛が短いエピソードで描かれていて、どれもが友人との恋バナで耳にしそうなリアルなものばかりなんです」

 松村さんがお薦めするのは、知人のSNSで知ったという『トーキョーカモフラージュアワー』。「女性目線で描かれた内容が多いので、男性が読むとどんな感想を持つのか、ちょっと知りたくなりますね」と笑う。

「第1話のカップルのエピソードで心をつかまれました。女性は彼氏の言動に不満を持ち始めているのに、同じ空間を共有している男性は“俺って幸せだな“とぼんやり思っていて。物語はそこで終わっているんですが、きっとこのまま心に距離が生まれると、女性は別れ話を切り出し、男性は突然の言葉に戸惑うんだろうなって想像したり。そうした余韻を楽しめるところも面白いですね」

 人の心や感情にはそれぞれに正義と真理があり、他人はそれを慮ることはできても完全に理解することはできない。恋愛となればなおのこと。

「ですから、もし恋人の考えていることが分からないという男性がいれば、ぜひ読んでほしいです。もしくは、この本が恋人の部屋にあったら要注意かも。何かしら不満を抱えてる合図かもしれないです(笑)」

 マンガが趣味だという松村さん。主演を務めた『推しが武道館いってくれたら死ぬ』も愛読書の一つだ。

「私がまだ乃木坂46でアイドルをしていた頃に読んでいました。当時は推される側だったので、ファンの方たちのピュアな気持ちがすごく伝わってきて。実際に主人公のえりぴよちゃんを演じてみると、今度は推す側の楽しさを感じることができました。劇中に登場するアイドルのChamJamちゃんたちが本当に魅力的なんです。私も“握手会とかで接触できる推しがほしい“って本気で思うようになりましたから(笑)」

 ドラマの人気を経ての今回の劇場版。物語もオリジナル要素が満載だ。

「えりぴよのピュアさが、ますますパワーアップしています(笑)。また、えりぴよは舞菜との出会いに運命を感じるものの、なぜ彼女がそこまで舞菜を推すのかは原作でもあまり描かれていないんですね。でも、理屈抜きで応援してしまうのが推し活であり、そんな尊い存在がいてくれるだけで生きる活力になる。反対に、アイドルにとってもファンの応援はすべてに勝るエネルギーで。そうした双方の想いを、今回の映画では存分に感じていただけると思います」

ヘアメイク:吉田真佐美 スタイリスト:鬼束香奈子 衣装協力:ワンピース1万5400円(COCO DEAL TEL03-4578-3421)

まつむら・さゆり●8月27日生まれ、大阪府出身。2021年に乃木坂46を卒業。現在は俳優として活躍中。主な出演作にドラマ『愛しい嘘〜優しい闇〜』『花嫁未満エスケープ』、『映画 賭ケグルイ 絶体絶命ロシアンルーレット』など。現在、FODオリジナルドラマ『ショジョ恋。』が配信中。

『劇場版推しが武道館いってくれたら死ぬ』

『劇場版推しが武道館いってくれたら死ぬ』

原作:平尾アウリ『推しが武道館いってくれたら死ぬ』(COMICリュウWEB/徳間書店) 脚本:本山久美子 監督:大谷健太郎 出演:松村沙友理、豊田裕大、ジャンボたかおほか 5月12日(金)より全国ロードショー
●昨年放送された同名ドラマの劇場版。地下アイドル・ChamJamの舞菜にひと目ぼれしたえりぴよ。平凡な人生を送っていた彼女は、収入のすべてを舞菜への推し活に注ぎ、やがて一目置かれる伝説のヲタとなる。
(c)平尾アウリ・徳間書店/「劇場版推しが武道館いってくれたら死ぬ」製作委員会