ズボラすぎるシゴデキ女&家事大好き男によるラブコメ『わたしのお嫁くん』。波瑠主演・現在放送中ドラマの原作をご紹介
公開日:2023/5/13
乾燥した魂に潤いが染みこんでいく、そんな恋愛マンガ『わたしのお嫁くん』を紹介します!
アラフォーになった頃からでしょうか…あれだけ楽しんできた恋愛マンガを、昔のように楽しめなくなっている自分に気づきました。恋愛や結婚・出産という、メジャーなライフイベントからは距離を置き、ひとり趣味に生きることにした独身女性の私にとって、恋愛マンガの大半が、共感しづらく、かつリアリティーも感じられない分野になってしまったのです。年齢を重ね、お肌のみならず魂まで乾燥化してしまった…!
そんな私が、大笑いしながら楽しく読めるレアな恋愛マンガ。それが『わたしのお嫁くん』(柴なつみ/講談社)なのです! そこには理想の世界が描かれていました…!
「営業神」な女と「家事神」な男。出来る男女のピュアすぎるラブコメ!
主人公の速見穂香(はやみ ほのか)は、家電メーカーで働く26歳。「営業神」と呼ばれるほど有能な営業担当です。その実力+取引先への気遣い、そして可憐な容姿も手伝い、みんなに「理想のお嫁さん」と言われたりもする、一見パーフェクトな女性です。
しかし実はこの速見、家事が大の苦手。汚部屋に暮らすズボラな一面を持っていました。そんな素顔を、ひょんなことから入社一年目の新人、山本知尋(やまもと ちひろ)に知られてしまいます。憧れていた速見の秘密を見てしまった山本は、嫌がる速見を無理やり………いや、嫌がる速見の「部屋」を、無理やり掃除!そう。実は山本は、家事が大好き&大得意な「家事神」レベルのスキルを持つ男だったのです!
そんな彼のスキルに惚れ抜いた速見は、勢いで山本に向かって「お嫁さんに欲しい…!!」と激白。こうして、ズボラすぎるシゴデキ女と、家事ができすぎる新入社員が、一つ屋根の下で暮らすことになるのです。
とにかく遅々として進まない恋愛がオモシロすぎる!
1巻にしていきなり同棲を始めたふたり。普通なら、スムーズにハッピーエンドになりそうなものですが、仕事や家事は神レベルでできる速見と山本も、恋愛だけはどうもうまくいきません。2023年4月現在、単行本は8巻まで出ているというのに、「まだそこ!?」という進展具合なのです。
だが、それがいい…!
客観的にどう考えても両思いなふたりが、同じ家に住んでいるにもかかわらず、気持ちがすれ違ってしまう。あんなに家事や仕事のスキルが高いというのに、自分の感情だけはままならない。そんな様子が、ハイテンポに、たっぷりの笑いをまぶして描かれているのが本当に秀逸です。
特に、ふたりがいつの間にか、結婚に向けての段取りを踏んでいくような展開がたまりません。嫁(山本)の家族へのご挨拶、姑(山本の兄・舅ではなく、あくまで姑)との関係、旦那(速見)の実家に一緒に帰省などなど…そこまで段取りを踏んでいるのに、なかなか「付き合う」状態にすら踏み出せないふたりの関係。ハッピーエンドが約束されているからこそ、歯がゆさとピュアとギャグに肩を震わせながら、夢中になってしまうのです。
『わたしのお嫁くん』に描かれる優しい理想の世界
男らしさ、女らしさに縛られることなく、得意なことを得意な人がやればいい。いわゆる男女逆転ものという一面を持つ『わたしのお嫁くん』は、ジェンダーロールに縛られる社会に一石を投じる作品であることは間違いありません。
しかし、この作品の凄いところは、正面から問題提起をしているわけではないところ。「得意なことは得意な人が」そんな適材適所な考え方が、すでに当たり前のように受け入れられている世界が描かれているのです。
例えば主人公の速見は、前述の通り家事全般が苦手で、それを得意とする後輩男子に全ておまかせして仕事に邁進し、快適に暮らしています。そんな彼女の生き様を知れば、普通なら「いやいや、社会人1年目の男の子にそんなことさせて、自分でもちゃんとやんなよ、女なんだし」と、古い価値観を振りかざして忠告してくるキャラが登場しそうなものです。
しかし、そんな人はひとりもいません。山本との生活を聞いて、「そんな都合の良い話ある!?」というツッコミを入れられることはあっても、否定は一切されないのです。コメディ作品ということで、他にも濃すぎる愛すべきキャラクターがたくさん登場しますが、その独特な生き様に対するリアクションの多くは、ツッコミorドン引き。引いても否定されることはありません。
それはまさに優しい理想の世界…!そして、我々の価値観が少しずつ一新されれば、実現可能な世界だなと自然に思わせてくれる明るい力が、この『わたしのお嫁くん」にはみなぎっているのです。
2023年4月クールにドラマが放送!
この『わたしのお嫁くん』は、フジテレビで4月クールにドラマ化!マンガの速見は、連載スタート時には26歳でしたが、波瑠さん演じる速見は32歳と、結婚や出産などで独身女性がより焦りを感じそうな年齢設定となっています。原作のテンポ良いギャグ感、そして私が感じた優しい理想の世界が、実写でどのように描かれるのか、毎週水曜日のよる10時が大変楽しみです!