自分に向いている? スキルをもっと生かすには? 今注目を集めるスタートアップ企業への転職入門
公開日:2023/5/14
革新的な事業で社会にイノベーションをもたらす。そんな既存の枠にとらわれず発展を遂げるスタートアップ企業への関心が高まりつつある。
書籍『「一度きりの人生、今の会社で一生働いて終わるのかな?」と迷う人のスタートアップ「転職×副業」術』(藤岡清高/東洋経済新報社)は、スタートアップ企業への転職などを考える人に読んでほしい1冊。ライフスタイルやキャリアが多様化しつつある現代を生きる、ビジネスパーソンにとって参考になる情報ばかりだ。
「実力第一主義」の職場でスキルアップのチャンスを
一部では「スキルアップする最短の道は、スタートアップで働くことだ」という声もある。それは「入社直後から裁量を持ち、さまざまな経験を積むことができる」環境だからだ。
定年引き上げや年功序列制崩壊など、ビジネスパーソンが置かれる環境の変化が著しい時代。いつでも転職できる状態にしておくのが必要と著者の藤岡清高氏は訴えるが、そのためにスキルアップする場としても、スタートアップは適しているのだ。
今や「個の時代」であるのも大きく、スキルや経験を積み、「会社」という看板のないところで働いて結果を出さねば、いずれ淘汰されかねない。実力第一主義ではあるが、成功すれば高い報酬が与えられ、才能があれば高い役職を与えられるのが基本原則のスタートアップは、可能性に満ちている。
転職希望者の悩み「年齢」の壁を越えられる
夢溢れる環境ながら、スタートアップには「向かない人」もいる。例えば、「前職でこのくらいもらっていたから、スタートアップでもこの金額くらいは欲しい」「大企業の管理職だったので、スタートアップなら役員で」と考える人だ。
一方、現在の企業ではなかなかすぐに実現できないことを、スタートアップでかなえたいといった具体的な目標がある人には向いている職場でもある。さらに、ある程度のキャリアを重ねたビジネスパーソンにとっては「40歳転職限界説」などの壁へ抗うチャンスにもなりうるのだ。
中堅以上のキャリアともなると、よかれあしかれ他社の“色”が付いた人材を転職先も採用しづらい。しかし、スタートアップ側は、年齢をそれほど気にしているわけではなく、スキルや経験があれば採用するというスタンスを取っている場合も多く、会社に依存せず、自らキャリアを構築していく力が求められるようになった時代にふさわしい選択肢にも思える。
面接では「社長目線」で「なぜ?」に答えるのがカギ
当然ながら、スタートアップ企業にも採用面接がある。採用の可否を決定するのはやはり社長である場合が多く、なかでも重視されるのは志望動機という。
スタートアップ企業への転職者を数多く支えてきた藤岡氏は、「面接官は基本的に、『なぜ?』『なぜ?』を5回ほど繰り返す」と解説する。また、面接では志望動機にある「モチベーションの源泉は何か?」「その人の持っているエネルギーの方向性が何なのか?」「どうしてこれをしたいと思っているのか?」を掘り下げられることが多いようだ。
そのため、転職希望者はあらかじめ「社長目線」で考えた「志望動機」を準備しておく必要がある。また、若ければポテンシャルを買ってもらえる可能性もあるが、30代以降では特に成果を出せるスキルを売り込むのも必須となってくる。
本書は、上記で紹介した内容だけではなく「会社の見つけ方」や「転職後の働き方」など、スタートアップ企業に関心ある人たちに役立つ、さまざまな知見を与えてくれる。新たな環境で社会をよりよく変えていくチャンスをつかみたいと願っている人へ、動き出すきっかけを与えてくれるかもしれない。
文=カネコシュウヘイ