「おしっこを我慢しすぎるとどうなる?」体や生物の疑問をひもとくうちに、子どもが科学好きになる本

マンガ

公開日:2023/5/22

つかめ!理科ダマン 1 「科学のキホン」が身につく編
つかめ!理科ダマン 1 「科学のキホン」が身につく編』(シン・テフン、ナ・スンフン:著、ナ・スンフン:イラスト、呉華順:翻訳/マガジンハウス)

 何を隠そう、私は理系科目がすべて苦手。小学校では苦手と思いながらもそれなりに理解できているつもりでしたが、中学になるとつまずき始め、高校の科学と物理は完全にお手上げ状態でした。そんな私が親になり、子どもの勉強について「苦手意識を作らないことが大切」であることをとある本で知りました。夫も完全文系な我が家。せめて子どもには「理科って楽しいんだな」と思ってもらいたい……。そう考えている時に発見したのが『つかめ!理科ダマン 1 「科学のキホン」が身につく編』(シン・テフン、ナ・スンフン:著、ナ・スンフン:イラスト、呉華順:翻訳/マガジンハウス)です。本書はもともと韓国でWEBマンガとして公開され、29億PVを突破した人気作品。現在シリーズ合計で125万部を売り上げています。

 登場人物は大学生・シンとその家族たち。シンはぐうたらで変わり者。しかし科学については天才的な才能を持ち、いくつもの装置を自作します。そんなシンといとこのグゥ、妹のジュリ、パパママといった家族たちのかなり笑える日常の一コマを描きながら、身近な生活の中にある科学の疑問と答えを紹介します。

 そんな本作の魅力はなんといっても読みやすさ。例えば「オレがもらしたんじゃないぞ!」という回では、シンと家族が買い物に。シンは飾ってあったロボットを破壊し装着してしまいます。高額な弁償に落ち込む両親を尻目に大喜びのシン。しかしトイレに行きたくなったのに、ロボットを脱ぐことができなくなって……。という、子どもたちが喜びそうなあらすじのマンガが掲載されています。そしてマンガの最後に「おしっこはなにでできているのか?」「溜めてしまうとどうなるのか?」という疑問を提示、答えを教えてくれる文章も掲載。この文章だけではなかなか読む気にならなくても、マンガの延長線上ならばさくっと読めてしまいそうです。実際我が家の長男も本書が大好き。一番好きな回はと聞いたら「おならの回!(パパの前でブー!)」といういかにも小1男子な回答でしたが、「おならは体に入った空気なんだよ!」「水と油は混じらないって知ってた?」とドヤ顔で説明してくるため、肝心の内容も頭に入っているようです。

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 またどの回も4~8Pと短めなので、飽きずに読めるのも読みやすさの理由。後半には体積や気圧についてなど少し難しい内容も盛り込まれますが、これも手品や、「妹・ジュリを引っかける罠を作る」という設定で紹介されるので、自分で実際にやってみることもでき、子どもの興味を引く仕掛けができています。手品のひとつ、冷えたビンの上に500円玉を置いて手でビンを温めると500円玉が動く、というものは小1でも簡単にやってみることができました。

 日常の中にある「そういえばどうしてだろう?」という身近な疑問とその答えが、全部で24個紹介される本書。本格的な理科の勉強が始まる前に、「科学って面白そうだな!」と感じたり、自分で疑問を持って調べたり。そんな興味関心の種が詰まった一冊です。

文=原智香