健康的な生活を送っているから大丈夫…ではない!? 誰もが「死」と隣り合わせと考えさせられる『くも膜下出血のラブレター』【今月のバズったマンガ】
更新日:2023/6/20
今どき面白いマンガはSNSにあり! ということで、本連載ではSNSで話題になった面白いマンガをピックアップし紹介していきます。
提供:Minto編集部
くも膜下出血で倒れた経験をもとに描かれた新月ゆきさんのエッセイ漫画『くも膜下出血のラブレター』。毎日健康を意識して、適度な運動・食生活を意識しているから私なら大丈夫……と思っている方にこそ読んでいただきたいマンガです。
筆者の私も、親族をくも膜下出血が原因で亡くしており、最初の処置が生死の分け目になったことを知りました。私の親族も、もっと早くに救急車に搬送されていたら、別の未来があったかもしれないと何度も考えたことがあります。そんな私にとって新月さんの『くも膜下出血のラブレター』を読んだ際に、最初の対応が早かったため、新月さんは無事に助かったようにも思えました。ですが助かったからよかったという単純なことではなく、読み進めるうちに違う形での困難が待ち受けることを知ったのです。
「助かってよかった」「実際にこういう経験がある」「他人事じゃない」などのコメントが相次ぐマンガを実際にみていきましょう。
突然の頭の痛み…目を覚ましたら病室!?
2020年夏に突然、新月さんを襲った頭の痛み。適度な食事・運動・睡眠を意識していたにもかかわらず、食事中に今まで感じたことのない頭の痛みを感じたそうです。
必死な思いで救急車に連絡したところ、即時入院・手術となり、目を覚ました新月さんは「くも膜下出血」と診断されます。
もしかしたら私にも可能性がある……!? 激変した入院後の生活と不安
一命をとりとめた新月さんですが、健康には気を使っていた自分がなぜくも膜下出血になったのかを疑問に思います。
スマホでいろいろな情報を検索してみても、原因には思い至らず… 看護師に尋ねることに。すると後日、脳外科医の先生から、「遺伝的要因で発症した可能性がある」ことを知らされたのです。
「早めの処置ができれば大丈夫」「最初の山を越えれば普通の生活に戻れる」と思っている方も多いかもしれませんが、実際のところはそんなことはなく、健康な生活に戻るためのハードルがどれだけあるのかリアルに描かれています。
このあと新月さんは、山場と言われた2週間の間に「ある症状」を発症。まさかそんな後遺症が残ってしまうなんて……と驚愕する展開が待っています。新月さんは周囲の様子から一刻を争う状況であることを把握し、「これからの自分の身に起こることをすべて知りたい」という一心であらゆる行動を試していきます。日々目まぐるしく、状況が変化していく中で新月さんの自分と向き合う姿から生きたいという強い覚悟を感じました。
私自身、自分も今後病気にかかる可能性があること、また、無事に手術で生き残ることができても後遺症が残る可能性があることをこの作品を通じて考えさせられました。特にこの作品の中での新月さんの言葉が心に残っています。
整理をしよう
人生の
生きる準備
死ぬ準備
をしよう
日々の暮らしの中で、毎日「生きる準備」をし続けることが、重要なのではないでしょうか。誰もが「死」と隣り合わせの毎日を送っていることを、改めて考えるきっかけになるマンガです。
文=Minto編集部 田中千裕
新月ゆき
関東在住のSNS漫画家。SNSでは、くも膜下出血・猫を中心とした漫画を発信中。好きなものは、マーダーミステリー、登山、ヨガ。
ブログ:マンガ家と猫とくも膜下出血の絵日記
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