小説家・中島京子の話題作がドラマ化!『やさしい猫』で紡がれる在留外国人の理不尽な現実と心温まる家族誕生の物語

文芸・カルチャー

更新日:2023/7/7

やさしい猫
やさしい猫』(中島京子/中央公論新社)

「第56回吉川英治文学賞」に輝いた話題作『やさしい猫』がドラマ化。2023年6月24日(土)から放送開始する。タレントや女優としても活躍する優香を主演に迎え、全5話にわたって放送される。

 原作者の中島京子氏は、2003年に『FUTON』(講談社)で小説家デビュー。2010年には『小さいおうち』(文藝春秋)で「第143回直木三十五賞」に輝き、2015年に発売された『長いお別れ』(文藝春秋)は「中央公論文芸賞」と「日本医療小説大賞」をダブル受賞している。両作とも映画化を果たしており、中島氏にとって『やさしい猫』は、『小さいおうち』『長いお別れ』に次ぐ3つ目の映像化作品となった。

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『やさしい猫』という穏やかなタイトルとは裏腹に、同作で取り上げているのは、日本に根を下ろして暮らす外国人と「入管法」をめぐる問題。シングルマザーの保育士・ミユキは、自動車整備工場で働くスリランカ人のクマラと惹かれあい、彼女の娘・マヤと一緒に3人で仲良く暮らしていた。

 ところが婚姻届を提出して夫婦になった直後、クマラは警察の職務質問を受けて入管施設に収容されてしまう。オーバーステイを理由に母国への強制送還を命じられたうえ、口頭審理では偽装結婚ではないかと疑われた。

 理不尽な対応への怒りと、助けられない悔しさに打ちひしがれるミユキとマヤ。クマラを助けるためには、裁判を起こして在留特別許可を得るしかない。わずかな望みを託して弁護士のもとを訪ねた2人は、ただ家族3人で暮らしたい一心で国を相手取った戦いに挑んでいく。

 現在、日本で暮らしている在留外国人の数はおよそ300万人。そういう時代の家族について描いてみたかったという著者は、今回のドラマ化にあたり「シングルマザーのミユキさんが、スリランカから来た青年のクマラさんと恋をして、娘のマヤちゃんと三人で小さな家族を作ります。その小さな家族に何が起こったか」「今回、ドラマという形で、さらにさらに、多くの方のもとに届くことが、とてもうれしいです」と喜びのコメントを寄せている。

 また同ドラマには主役の優香をはじめ、マヤ役には注目の若手女優・伊東蒼やクマラ役のオミラ・シャクティが出演。そのほかミユキの母親役に余貴美子、ミユキたちをサポートする弁護士役に滝藤賢一など、豪華なキャスト陣が圧巻の法廷ドラマを繰り広げるそうだ。

 ちなみにタイトルにある“やさしい猫”とは、クマラが語ったスリランカの童話が由来。ねずみを食べた猫が、そのねずみの子どもたちと出会い、食べてしまったことを後悔する。猫は子ねずみたちを育てるのだが、はたして猫は残酷なのか、やさしいのか…。この童話が物語にどう絡んでくるのか、ぜひ小説とドラマで確かめてみてほしい。

■ドラマ「やさしい猫」
原作:中島京子
放送局:NHK
放送日時:2023年6月24日(土)放送開始 毎週土曜よる10時~10時49分
出演者:優香、伊東蒼、オミラ・シャクティ、余貴美子、滝藤賢一 ほか
公式サイト:https://www.nhk.jp/g/blog/zx80rkhx3/