綾瀬はるか主演『リボルバー・リリー』50人以上の殺害に関与した美しき諜報員のスパイアクション長編
公開日:2023/6/18
8月11日に公開される映画『リボルバー・リリー』。これまで多くの映画を撮ってきた行定勲監督初のアクション作品であり、主人公である女スパイをアクション俳優としての評価も高い綾瀬はるかさんが演じることで注目を集めています。この映画の原作は、時代小説を多く手掛ける小説家・長浦京さんの同名の小説。映画公開を前に、まずは小説で『リボルバー・リリー』(長浦京/講談社)の世界を楽しんでみませんか?
本作の舞台は1924年、東京。その前年の関東大震災直後、ふたりの女性が妊婦を助けるところから物語は始まります。そのうちのひとりが小曽根百合。特殊な訓練を受け、3年間で50人超の殺害に関与した美しき諜報員、別名リボルバー・リリーです。とある機関に育てられた百合は殺人能力に優れ、人を殺すことに抵抗を持たない人物。しかし人をあまりにも殺し過ぎたために任務から遠ざけられ、娼家の並ぶ街・玉の井を仕切りながら暮らしています。そんな百合は、ある人間からの依頼で少年の警護をすることに。少年の名前は細見慎太。裕福な一家の長男として生まれた慎太は東京で豊かな暮らしをしていましたが、関東大震災を機に状況が一変。何かから逃げるかのような生活を送り始めた父・細見欣也の方針で、弟の喬太と女中ふたりとともに、埼玉・秩父で暮らしています。
秩父での辛い暮らしにも耐えていた慎太ですが、ある日東京からやってきた父に薄茶色の封筒を渡され、「このまま逃げろ」と言われます。なぜ父がそんなことを言うのか。真相を知りたい慎太と喬太は家の床下に潜り込み、何が起きるかこの目で確かめようとします。そこで目にしたのは父と母と姉、そしてふたりの女中までもが封筒のありかを巡って拷問を受け、殺される様子でした。その光景に嘔吐しながらも床下からはい出し、父が頼るようにと言付けた武居という男のもとを訪ねるため、熊谷に向かいます。しかしそこでもふたりは厄介者扱い。武居に連れられ、ふたりは使われていない工場に身を隠しますが、その晩武居が食料を持ってきたきり誰も来ず。数日後、熱を出した喬太に薬を買うために慎太は一人工場の外へ出ます。しかしその間に工場は炎に包まれ、喬太は亡くなってしまうのです。
後悔と絶望にさいなまれる慎太のもとに、ようやく百合が登場。慎太は火をつけたのは武居と思い込み、仇を討つまでは熊谷を離れないと主張しますが、百合は武居も姿をくらましており、もう生きてはいないだろうと告げます。混乱しながらも慎太は百合と行動を共にすることに。生まれつき悪い左足を引きずりながら歩く辛さや、家族の死を度々思い出してしまう苦しさを決して口にしない慎太の意地とプライドに、百合もまた、身を挺して救う価値を見出すのでした。
父は一体何をしたのか? 封筒の中身はなんなのか? という謎に迫りながらの逃亡劇はスリル満点。時には船や電車の上で、時にはトラックを走らせながら、百合の素早い身のこなしが光る銃撃戦は手に汗を握るものです。
映画では主人公・百合を綾瀬はるかさん、慎太を羽村仁成さん(Go!Go!kids/ジャニーズJr)が演じるのに加え、長谷川博己さん、豊川悦司さん、ジェシーさん(SixTONES)らも登場。まだ彼らがどんな役を演じるかは公開されていないので、小説を読みながら楽しみにお待ちください!
文=原智香