悩みや不安を解決する3つの基本とは? カーネギーの名著『道は開ける』を分かりやすく紹介した超入門書!
公開日:2023/6/17
生きていると、順風満帆なときもあれば、なぜこんなにいろんなことが重なるのかと嘆きたくなるときもある。だが、それでも時間は止まってはくれないし、自分は生きていて社会は動いている。立ち止まる時間が必要な場合もあるが、ずっとそうしてはいられない。でも、気持ちの整理がうまくできない、前に進めない、と悩むことも――。
『13歳から分かる! 道は開ける カーネギー 悩みを解決するレッスン』(藤屋伸二:監修、大西洋:イラスト/日本図書センター)は、そうした乗り越えなければならない壁にぶちあたったときに読みたい本。本書はデール・カーネギーの名著『道は開ける』を、イラスト付きで、子どもでも分かりやすい物語形式で紹介している。1~2時間もあれば読み終わる分量のため、原作を読む時間がない大人にもぴったりだ。
物語の主人公は、レストランを経営している青年シェフ。開業時からともに店を経営してきた相棒を交通事故で亡くし、悲しみにくれているところからスタートする。絶望の中どうにか営業を続けてはいるものの、店の空気は重くなり、以前のように楽しんで食事ができる場ではなくなっていた。そんな中、レストランの常連客である老人と話す機会を得る。
老人は悩みを打ち明けた青年に、「悩みに関する3つの基本事項」として、「今日1日を一区切りと考える」「悩みに対処するための“魔法の公式”を学ぶ」「悩みがもたらす悪影響を知る」の3つを教える。人は今日という一日に集中し、その中で自分ができることを一生懸命やるしかない。だから今日を精一杯生きることが明日への最良の準備になる、という言葉には、筆者もハッとさせられた。大事なのは、最悪の事態を想定し、それを受け入れる覚悟をしたうえで一日一日努力を重ねること。悩んでばかりいるとストレスが蓄積して病気の原因になってしまいかねない。
老人の話を聞いた青年は、「こんな状態を続けていては、体を壊し、いずれ大事な店もつぶしてしまう」と、自分が悩みに振り回されていたことに気づく。そしてスタッフにこれまでの不甲斐ない態度を詫び、毎日を精一杯生きることで、少しずつ店の活気を取り戻していった。この後も青年は、新たな不安や心配事が生まれるたびに老人にアドバイスを求め、一歩一歩成長していく――。
ちなみに『道は開ける』の原題は、直訳すると「心配するのをやめて、生活を始める方法」となるらしい。気持ちが落ちていると、「生活を始める」というのは簡単なようで難しい。自分でもよく分からない不安に取り憑かれたり、心がついていかなかったり、前を向けなくなってしまったり……なかなか思うようにはいかないものだ。本書は、そうした幅広い状態に対処できる解決法を段階的に教えてくれる。
本書の内容を理解しても、すぐにすべてを取り込むのは難しいかもしれない。しかし紹介されている解決法を学び、繰り返し自分に馴染ませることで、確実に変わっていくことができるはず。筆者も本書で気持ちの断捨離をしつつ、自分らしい生活を目指して一日一日を大切に生きていこうと思う。
文=月乃雫