神木隆之介「夜神月に憧れていた」―人生でもっとも影響されたと語る『DEATH NOTE』への共感【私の愛読書】

マンガ

更新日:2023/6/23

神木隆之介さん

 6月23日に、時代劇初主演作となる映画『大名倒産』が公開する神木隆之介さん。かつてから様々な場所でマンガやラノベが好きと語ってきたが、そんな彼が選ぶ、1番好きなマンガとは何なのか。

 さまざまなジャンルで活躍する著名人たちに、お気に入りの一冊をご紹介いただく連載「私の愛読書」。今回は神木隆之介さんにお話を伺った。

(取材・文=篠田莉瑚)

今後永久に残っていくであろう作品の1つ

―― 神木さんの一番思い出深い、好きな作品をお聞かせいただけますか?

神木:人生の中で一番好きなのは『DEATH NOTE』。出会ったきっかけは中学生の頃、単行本で読んでいて「なんて文字数が多いマンガなんだ…!」と思いました。

 当時のジャンプの中ではめちゃくちゃ新しい、とがった作品で。夜神月(やがみライト)はまあ、ダークヒーローなんでしょうね。夜神月とLがいて、お互い頭が良くて。少しの言動だったりとか伏線だったり、罠だったり、巧妙すぎてめちゃくちゃ新しいなと思って読んでいました。僕は当時、夜神月に憧れていたので(笑)。

 それこそ同じ学校の3つ上に本郷奏多もいたので、2人で『DEATH NOTE』にハマって、映画も観に行ったりもしました。だから今でも好きなマンガを聞かれたら『DEATH NOTE』って答えちゃいます。

DEATH NOTE
DEATH NOTE』(大場つぐみ:原作、小畑健:漫画/集英社)

―― 単行本で読まれていたとのことですが、ジャンプ本誌からではなく、単行本を手に取った理由を教えてください。

神木:一際、良い禍々しさを感じたんですよね。表紙がジャンプっぽくない。すごい重厚感があって、中身が濃そうだなと思って手に取った記憶があります。素直に読んで3時間かかりました、1巻読むのに(笑)。

 『DEATH NOTE』は、何回読んでも今でもわからないことがあります。後に『バクマン。』(2015)で大場(つぐみ)さんと小畑(健)さんの作品に関わらせていただくことになったのもあり、僕の中では人生で一番影響されている作品です。

―― 先ほど「夜神月に憧れていた」とお話しされていましたが、惹かれたところ、当時真似したかったところはありましたか?

神木:やっぱり頭よくなりたいってめちゃくちゃ思っていましたね。先を読める人間になりたい。夜神月と出会ってから、僕は自分の行動が誰にどういう風に影響してくるかというのをちゃんと考えながら行動するようになりました。

 僕は、夜神月が言っていることはすごく正しいと思っているんです。Lか月かって言われたら、月派なんですよ。彼が『DEATH NOTE』を持って世の中を変えたいと思ったのは、「他人の幸せを侵してはならない」と感じたからですよね。人の幸せに干渉することも、壊すこともしてはいけない。壊してしまったら、その幸せは永久に戻らない可能性もある。

 だけど壊した人間は、今ある法律で裁かれるけど、後に刑務所から出てくることもできる。壊した側は年月で解決できてしまう。それが法の限界であって、その人が犯した犯罪とも見合っていないこともあるし、壊された側の気持ちも晴れることはない。だから僕は、そんな理不尽な世界を正しくするためにキラになる、という月の考え方はすごくいいなと思いました。

 今もそうですけど、世の中で幸せそうな人をつついてくる人とかいると思うんですよ。妬みとか、壊してやろうとか、干渉しようとしてくる人って、少なからず昔からいると思うんです。SNSが普及してからは特に。でもそれってすごく違うことだと思うんです。自分は自分だし、他人は他人でしょって。なんで自分を他人と比較して、そういう思いになんなきゃいけないのかとも思いますし。

 現代と『DEATH NOTE』の月が言っていることや考え方は、すごく通ずるところがあるなと思っているので、今後永久に残っていくであろう作品の1つだと思っています。

―― おっしゃる通り、長く残る作品だと思います。一方で、まだ『DEATH NOTE』を読んだことがない人もいるかと思います。そんな人たちにおすすめするとき、神木さんはどんな言葉で伝えますか?

神木:「世界の平和のために神になろうとした、勘違いした男の話」という風に、僕は語ります。

 要は裁くこと自体、人間はやってはいけないよね、ということを警察側のLは言っているんですよね。「あなたの言っていることは正しいかもしれないけど、でもあなたは、神ではなく同じ人間として見たら、クレイジーな大量殺人犯ですよね」ってニアにも言われるんですけど、結局は今の世の中で夜神月が神ではなく、人間としてやってしまった罪なんですよね。

―― ちなみに今、すごくお忙しいと思いますが、どんな時間に本を読まれることが多いですか?

神木:寝る前にマンガを読みますね。今は少女マンガ。幼馴染3人のお戯れ日和みたいな『たいがー&どらごん』とか、あなしんさんの『運命の人に出会う話』とか。少女マンガ読むのが大好きなので(笑)。

――『DEATH NOTE』からだいぶ変わりましたね(笑)。

神木:だいぶ離れたところにあるやつを読んでいます(笑)。絵が好きだったりするので、絵をきっかけに読みます。最近だと『クールドジ男子』が大好きでした。「おれ、誰派かな?」って女子目線で読んじゃいます。

 最近は『DEATH NOTE』みたいな殺伐としたものより、平和で可愛らしいやつを読んでいます。忙しいと癒しを求めちゃいますね(笑)。

神木隆之介さん

スタイリング:日本語表記:カワサキ タカフミ/英語表記:TAKAFUMI KAWASAKI
ヘアメイク:MIZUHO(VITAMINS)
カメラマン:YOSHIHITO KOBA(Sketch)

<第23回に続く>