「親でも抱っこに許可がいるなんて…」大人になってパートナーに「イヤ」と言えるように。親の意識もアップデートしてくれるはじめての子育てBOOK
公開日:2023/7/7
古今東西、子育ての悩みがない親御さんはほぼいないはず。まじめに子どもに向きあう人ほど、「これでいいのだろうか」と迷いが生じがちだ。情報があふれ、SNSで子育てのキラキラな面ばかりを見てしまう現代ではとくにだろう。
『マンガでわかる! 幼児の子育てはじめてBOOK』(アベナオミ/KADOKAWA)では、親にとって大切なのは、「だいたいで」「まあいいか」という感覚でどんと構えていることだということを、子育ての専門家目線で教えてくれる。
つまずきがちな「トイレトレーニング」「ケンカ」など基本的な問題から、今の時代に必要な「デジタルメディアとの付き合い方」「多様性の学び方」「性教育」など、“それが知りたかった”を各専門家の解説と先輩ママの口コミで教えてくれる。
また、家族の中で起こりがちなあるあるシーンをマンガで表現しているから、状況を呑み込みやすく、共感をもって読むことのできる一冊だ。
たとえば今、「子どもがデジタルメディアに依存しないように管理」することが多くの親の課題になっている。見ている間は大人しいのでうまく利用はしたいのだが、見すぎてしまうのは心配。では、どうすればよいのか?
まず教えてくれるのは、親がデジタルメディアと子どもの関係をどう捉えればよいのか。
そのうえで、どんなルールを設定すべきか。
一刀両断に「いけないもの」「禁止」とするのではなく、子どもの興味や価値観を尊重しながら、どこにポイントを絞って管理をすればよいのか教えてくれている。
〔管理のポイント〕
・寝る1時間前以降は画面を見ない習慣をつけることで、睡眠の質を保つ
・刺激の強すぎる動画に導かれないように、親のそばで観るようにさせる
・安心して観させることのできるコンテンツを選ぶ(コンテンツは本著で紹介)
・制限時間を設けるより、コンテンツ数で終わりを決める
など
そして自分が教わっていないことでも、親が伝えていかなくてはならないことは多々ある。たとえば、LGBTQやジェンダーに関する正しい意識や、性教育について。
自分は習っていないどころか、性教育などはタブー視すらされていたことで、どのように子どもに伝えればよいのかは学ばない限りわからない。これから確実に必要になってくる知識であるにもかかわらず、公教育には頼れないこれらのことは、親の意識によって教育格差が大きくなっている分野でもある。
これらのトピックは、わが子と、わが子が関わるほかの人の人権に直結する基盤を形作るもの。子育てをしていくにあたって、無関心ではいられないことばかりである。
詳しく深く書かれた本を幅広く読むのはハードルが高い。まずは本著で基本を押さえて、親もアップデートをしていきたい。
文=矢島史