ルイス・キャロル『不思議の国のアリス』あらすじ紹介。迷い込んだのは、常識が通用しないヘンテコな世界!?

文芸・カルチャー

公開日:2023/7/6

「アリス」という人名から大多数の方が最初に連想するのが『不思議の国のアリス』でしょう。2010年にも実写版映画『アリス・イン・ワンダーランド』が公開されるなど今なお愛される作品ですが、原作小説に触れたことのない方も多いのではないでしょうか? そこで今回はルイス・キャロル『不思議の国のアリス』のあらすじをわかりやすく解説します。映像作品とはまた違った面白さがありますので、ぜひ読んでみてください。

<第14回に続く>
不思議の国のアリス

『不思議の国のアリス』の作品解説

『不思議の国のアリス』は、イギリス人数学者のチャールズ・ドドソンが、知人のリデル一家の三姉妹に語り聞かせたおとぎ話が原型です。次女アリスがいたく気に入ったことから加筆修正を加え、ルイス・キャロル名義での自費出版に至りました。教訓的な児童文学が多かった当時でしたが、言葉遊びや風刺をちりばめ純粋な娯楽として成立させた本作は、今日に至るまで数多くの読者に受け入れられています。

『不思議の国のアリス』の主な登場人物

アリス:好奇心の強い少女。おませさん。

白ウサギ:公爵夫人の下へ急いでいるウサギ。

公爵夫人:アリスの発言に教訓を見出したがる醜い夫人。

チェシャ猫:神出鬼没の体をもち、ニヤニヤ笑う夫人の飼い猫。

三月ウサギ・いかれ帽子屋・眠りネズミ:狂ったお茶会の、いかれたメンバー。

ハートの女王:「首を刎ねろ!」が口癖のトランプの女王。

代用ウミガメ:涙もろい元ウミガメ。

『不思議の国のアリス』のあらすじ​​

 しゃべる白ウサギを追って穴に落ちたアリスは、広間で小さな扉と小さなカギを見つけます。小瓶の薬で小さくなったり、ケーキを食べて大きくなったり悪戦苦闘するうち、泣き出したアリスの涙が池となって、動物たちが集まってきました。

 体を乾かそうと徒競走をする一行でしたが、アリスの飼い猫の自慢話を怖がり動物たちは逃げ出してしまいます。その後アリスは白ウサギにメイドと誤解され、白ウサギの家、青虫のいる森を経て、公爵夫人の家を訪れます。

 室内では狂気のコックが辺り構わず皿を投げ、お守りを任された赤ん坊は豚になって森へ逃げてしまい、アリスはチェシャ猫の言葉でいかれ帽子屋のお茶会へ向かいます。お茶会に辟易したアリスが席を立ち、木立のドアを抜けるとそこは最初の広間でした。

 扉の先はハートの女王の庭。女王が開催したクロッケー大会は誰も彼も死刑、参加者はどんどん減り、結局アリスはお使いを頼まれます。

 お使い先で代用ウミガメと話すうち、女王のタルトを盗んだジャックの裁判が始まりました。こじつけの裁判を非難したアリスにトランプたちが襲いかかり、悲鳴を上げ……そしてアリスは姉の膝枕で目を覚ましたのでした。

『不思議の国のアリス』の教訓・感想​​

 好奇心旺盛なアリスが迷い込んだ不思議な世界。常識やルールが通用しない世界を自由に冒険するアリスですが、この作品を読む子どもたちにも、常識にとらわれず、興味の赴くままにこの世界を探求していってほしいという願いが込められているのかもしれません。