糸井重里、かこさとし、クリハラタカシetc…絵本作家・ヨシタケシンスケが会いたかった人気作家と11個のテーマを語り尽くす! 著者初となる“対談集”が発売
公開日:2023/7/26
“ヨシタケシンスケ”といえば、今までありそうでなかったシュールな視点と、シンプルで親しみやすい独特なタッチで人気を博す絵本作家として知られている。代表作には『りんごかもしれない』や『それしか ないわけ ないでしょう』などがあり、過去には全国の絵本屋さんが選ぶ「MOE絵本屋さん大賞」で4年連続1位に輝いたことも。そんな彼の自身初となる対談集『もりあがれ!タイダーン ヨシタケシンスケ対談集』が、2023年7月3日(月)に発売された。
同書でヨシタケと対談しているのは、糸井重里、かこさとし、岸本佐知子、クリハラタカシ、坂崎千春、柴田元幸、junaida、鈴木のりたけ、ブレイディみかこ、穂村弘、モリナガ・ヨウの計11名。彼ら、彼女らは全てヨシタケが“会いたかった”と語る人気作家で、対談の中身も芸術書のコレクションを披露しあったり、リスペクトする絵本作家のアトリエを訪ねたりと、ただの対談で終わらない充実した内容となっている。
たとえば歌人・穂村弘とは、「蔵書対決! タイダーン」という名目で“お宝アート本”トークを展開。穂村は『ADE』『スピードノリモノ』『海の小娘』、ヨシタケは『CE QUI COMPTE』『LIFE SIZE』『GRANDISSIMA SELEZIONE』などの本を取り上げて、それぞれの本への思いや魅力を熱弁していた。
しかも彼らが紹介する本は、実に興味深いものばかり。ヨシタケが紹介していた『BAD LUCK, HOT ROCKS』という写真集は、“石を持ち帰ると不幸になる”という迷信があるアメリカの国立公園で、石を持って帰ってしまった観光客たちが後悔して返してきた石と手紙を集めたものらしい。これには話を聞いていた穂村も、「ビビって返してくるんだ。『罰が当たりました』みたいな(笑)」「すごいね、よくそんな本を考えつくね」と思わず感心していた。
他にも絵本作家・かこさとしとの対談では、さまざまな秘話が語られている。ヨシタケのデビュー作『りんごかもしれない』の一部は『からすのパンやさん』へのオマージュであること、オマージュした背景には家族との思い出があることなどが明かされており、それを知る前と知った後では作品の見え方も大きく変わってくるに違いない。
また同書は対談内容だけでなく、ヨシタケの描き下ろしイラストも満載だ。対談ごとに用意された扉絵のイラストはもちろんのこと、対談の合間に挟み込まれた「ヨシタケシンスケの1日」や「必殺技:ヨシタケサイクロン」の説明図、対談後の感想「お話しして思ったこと」など、ユニークなイラストを通して人気作家たちやヨシタケ自身の人となりを説明している。ちなみにマンガ家兼イラストレーターのクリハラタカシとの対談では、それぞれがお題を出して描いたマンガも掲載されているので、ぜひチェックしてほしい。
“対談集”と聞くと、堅苦しくて重い感じをイメージしてしまいがちだが、『もりあがれ! タイダーン ヨシタケシンスケ対談集』は表紙もポップで、その中身もイラストや写真が多くてとても読みやすい。
人気作家たちとの対談を通して、ヨシタケの人となりを知れば、今よりもっと“ヨシタケシンスケワールド”を楽しめるだろう。