小さい子向けおはなし絵本(2023年7月 新刊&おすすめ絵本)
公開日:2023/7/14
オノマトペやコミュニケーションを楽しむあかちゃん絵本を堪能した後は、短いおはなしの絵本へ少しずつ移行して、世界を広げてあげるのも良いですよね。
最初はなかなか物語に入っていけなくても、動物や恐竜、乗り物など、お子さんのお気に入りが登場する作品をきっかけにすれば、絵本の世界をより一層楽しむことができるかも? 声かけでコミュニケーションを育む絵本や、想像しやすい身近な場面から自由に空想を膨らませられる楽しさが詰まった絵本など、2歳頃から楽しめる短いおはなし絵本をご紹介します。
また、言葉でのコミュニケーションが取れるようになったころにおすすめしたいのが「性教育」の絵本。「性教育」と聞くと「まだ早いのでは?」とビックリする大人も多いと思います。しかし、子どもが自分の体に関心を持ちはじめ、「うんち」「おしっこ」「おっぱい」など大声で言われると困ってしまう言葉を発するようになった2~3歳頃の時期は、まさにぴったりのタイミングです。赤ちゃんはどこから来るのか、男の子と女の子の体の違い、プライベートパーツについてなどの疑問を、分かりやすい言葉やイメージで教えてくれる絵本。そして現代の多様な「生」や「性」に対応するように描かれた絵本をご紹介します。
乳幼児のまっさらな状態から伝えたい、大切な自分の心とからだのこと。暑くなって肌を露出する機会が多くなるこの時期に、絵本から「性教育」をはじめてみませんか?
ぶたちゃんは泥のお風呂、しかさんは森のサウナ、みんなで一緒にお風呂をはしご。最後は盛大にばっしゃーん!『おふろおじゃまします』
おふろおじゃまします
作:たしろ ちさと
みどころ
大好きなおふろに入りながら、たろちゃんとかばちゃんはこんなことを言います。
「きょうも みんなの おふろに はいりにいこうか かばちゃん」
「そうだねえ たろちゃん」
早速ふたりはトロッコ列車に乗り込んで、がたんごとんと出発です。
「おふろ おじゃまします」
最初に着いたのは、うさぎちゃんのおふろ。ぷくぷく、もこもこ、あわのおふろ。次におじゃましたのは、ぶたちゃんのどろんこぶろ。がたんごとん、さらに進むと森の中。しかさんのおふろはほかほかサウナ。天井裏にはふくろうさんのおはなしおふろ。さらにさらに、たこさん、わにさん、ぞうさんのおふろまで。みんなのおふろ、楽しいねえ! トロッコ列車は岩山をのぼり、もうすぐ「やまのてっぺん駅」。そこで待っていたのは……!?
おふろと言っても、こんなに色々あるなんて。見てください、おじゃまする時のたろちゃんとかばちゃん。ワクワクしているのが全身から伝わってくるようです。人気絵本作家たしろちさとさんが最新作で手がけたのは、おふろの絵本。かわいいけれど、スケールは壮大です。なんてったって、最後は動物たちがみんな一緒に入れるんですからね。観音開きでバッシャーンと画面が大きく広がるシーンの爽快感といったら。
気がつけば、心もからだもぽっかぽか。たろちゃんとかばちゃんじゃなくたって、おふろが大好きになっちゃいますよね。最後はやっぱり自分のうちのおふろ。またみんなで入ろうね。
はらぺこの犬、ぐるぐるしっぽのネコ、きみが名前をつけてみて! 「なーんだ?」の声かけで発想力が身につく参加型絵本『なまえをつけてね』
なまえをつけてね
作・絵:shimizu
出版社からの内容紹介
子どもから大人まで年齢問わず楽しめる、発想力が身につく新感覚の参加型絵本。
退屈してしまう移動時間や待ち時間、学校でのレクリエーションの場でも大活躍の1冊!
「はらぺこの イヌ。なまえは?」
「いたずらっこの タヌキ。なまえは?」
「きれいな うろこの サカナ。なまえは?」
どんな色? どんな形? どんな特徴?
かわいい動物たちのイラストをよ~く観察して、自分の好きななまえをつけてみよう!
<遊び方>
「ぐるぐるしっぽの ネコ。なまえは?」――「トラみたいな もようだから『トラちゃん!』」「しっぽが ぐるぐるしてるから『ぐるぐーる!』」「なんとなく『ネコたろう!』」「きいろいから『きいろくん!』」
色々な動物たちになまえをつけ終わったら、もう一度ページにもどって、どんななまえをつけたか思い出してみたり、新しいなまえをつけ直してみたり、時間制限を設けてなまえをつけられるかチャレンジしてみたり……遊び方は無限大!
真っ白シーツのトンネル抜ければ、そこは雲の上。小さな赤い飛行機に乗って、想像の翼を広げよう『プララのひこうきびゅーん』
プララのひこうきびゅーん
作:武内祐人
みどころ
ねずみのプララが、小さな赤いプロペラ機に乗って、飛んでいきます。
「びゅーん せんたくものの とんねる くぐりまーす」
白いシーツの間に入って「なかはまっしろ」。
……と思ったら、いつの間にか、赤い飛行機は白い雲の中。
雲の上に出て大空を「びゅーん」。
雲でトランポリンをする動物たちの横も抜けて「びゅーん」。
あれれ、プララったら、操縦しながら雲のわたがしを食べているみたい!
黒雲の中に「びゅーん」。
雨が降ったり、カミナリが鳴ったり。
飛行機はどこへ行くのかな?
空想を広げて、プララと一緒に大空を冒険しましょう。
「びゅーん」というシンプルな言葉の繰り返しと、明るい空の色が気持ちいい絵本です。
お子さんと一緒に「びゅーん」と声に出しながら楽しんでくださいね。
ねずみのプララが主人公の絵本は、他に『プララのとんねるぶっぶー』もあります。
本書と同じく、身近なところから世界が広がっていく、幼いお子さんにぴったりの楽しい絵本です。
あわせてどうぞ。
人が生まれるしくみについて。多様な「生」と「性」について。これからを生きる子どもたちへ向けた性教育絵本『あかちゃんはどうやってできるの』
あかちゃんはどうやってできるの?
作:コーリー・シルヴァーバーグ フィオナ・スミス訳:たち あすか
出版社からの内容紹介
あかちゃんはどこからくるの?と幼い子どもにきかれたら、この本の出番です。性別を表す言葉をいっさい使わず、肌の色を特定しないカラフルな色づかいで、人が生まれるしくみについて、わかりやすく楽しく語ります。多様な〈生〉と〈性〉を尊重する精神に貫かれた、すべての子どもとすべての家族のための、画期的な性教育の絵本!
「あなたが あなたらしく いきていくために」。幼いからこそ伝えたい、大切な約束が詰まった『ようこそ こどものけんりのほん』
ようこそ こどものけんりのほん
作:子どもの権利・きもちプロジェクト絵:えがしら みちこ
出版社からの内容紹介
今、注目を集める「子どもの権利」を、えがしらみちこさんのあたたかいイラストがやさしく紹介してくれます。
権利というと、一見難しいイメージがありますが、子どもたちと子どもに関わる大人を守る大切なもの。
子どもの権利のはじめの一歩を親子で学べる絵本です。
カバー裏には子どもの権利条約ポスターを印刷。
2023年6月刊
「プライベートゾーン」を伝える入り口に。子どもが自分の心とからだを守るために大切なことを学ぶ『いいタッチわるいタッチ』
いいタッチわるいタッチ
著:安藤 由紀
出版社からの内容紹介
”子ども自身が“自分を守るために大切なこと” を学べる絵本。
人を愛したり守ったりする「いいタッチ」と、人に暴力をふるい権利を奪う「わるいタッチ」があることを知って、自分の身体を守ろう!という教育絵本です。
決してあってはならないことながら、子どもが性被害に遭遇しやすい現代。そんな時代を反映し、復刊ドットコムサイトでの得票数が急激に伸びました。
本作に投票してくださった皆さまの声にお応えして、待望の復刊です。
子どもは、どこまでが性的虐待か、わかりません。そこで「口と水着で隠れる場所は、自分だけの大切なところ。さわっていいのは自分だけなの」と本書は優しく説きます。
可愛いイヌの子どもたちが、愛されるタッチと、そうではないタッチを学びます。親子で楽しく読みながら、大切なことをお子さんに伝えられる1冊です。
ご家庭、幼稚園、学校で…。ぜひ読み聞かせていただき、子どもを性被害から守りましょう!!
▼著者紹介
絵本作家。人権ファシリテーター日本子ども虐待防止学会会員。テナーネットワーク主宰。2005年度スイスの女性団体より「世界で平和活動をする1000人の女性」にリストアップされた。創作絵本に『暴力や虐待から身を守る』(ポプラ社)、『あなたはちっともわるくない』『わたしがすき』(岩崎書店)、『子ども虐待・教師のための手引き』(共著/時事通信社)等がある。
※本書は、2001年・岩崎書店刊『いいタッチわるいタッチ』を底本に、再編集して復刻するものです。
ティラノサウルスと新幹線が合体?! 恐竜好きにも乗り物好きにも楽しんでもらえるユーモア絵本『おれ、きょうりゅうしんかんせん』
おれ、きょうりゅうしんかんせん
作:片平 直樹絵:山口 マオ
出版社からの内容紹介
ティラノサウルス、しんかんせん、おつきさまの三者が繰り広げる、
ハチャメチャで愉快な物語。
「おれ、ティラノサウルス。よるに さんぽをするのが だいすきだ」
ある夜、遭遇したのは、鼻が短くて走れないと泣いているしんかんせん。
そこへ現れた、おつきさま。
「それっ!」
おつきさまがかけ声をかけると……、
ギャ――?
悲鳴を上げるティラノサウルス。一体どうなっちゃったの??
ティラノサウルスのボヤキや、しんかんせんとの軽快な掛け合いがクセになる、ワクワク独創的なおはなしをお楽しみください!
★おすすめ★ 3~6歳
すずめ、うま、ねこ、そして「ぼく」。みんなが幸せに暮らせる「とおいところ」ってどんなところ?『とおいところへいきたいな』
とおいところへいきたいな
作・絵:モーリス・センダック訳:じんぐう てるお
出版社からの内容紹介
聞きたいことがあるのに、お母さんは赤ちゃんにかかりきりで相手をしてくれません。
そこでマーチンは「遠いところ」へ行ってしまおうと決心します。
ところが、猫やスズメや馬と一緒に出かけた「遠いところ」では…
【動画公開中】さぁ、夏をはじめよう!
文:栗田奈緒子 編集:木村春子