『花咲かじいさん』あらすじ紹介。花咲かじいさんはなぜ、枯れ木に灰を撒いたのか。殺された愛犬からのメッセージ
公開日:2023/7/23
『花咲かじいさん』は「ここ掘れワンワン」「枯れ木に花を咲かせましょう」のフレーズが有名な日本の民話で、幼少期に絵本で読んだ方も多いと思います。よく読むと奥深い内容で、教訓の詰まったストーリーのあらすじを結末まで紹介します。
<第18回に続く>
『花咲かじいさん』の作品解説
とても有名な民話で、ジャンルとしては「動物報恩」と「隣の爺型」に分類されます。室町時代末期から江戸時代初期にかけて成立したとされる勧善懲悪のお話です。地方ごとにさまざまなバリエーションがあるのが特徴的で、中には臼を焼いた灰ではなく、シロを火葬した灰で花を咲かせる展開などがあります。
『花咲かじいさん』の主な登場人物
心優しい老夫婦:弱っていたシロを助け、我が子のように育てる。
欲張りな老夫婦:お金のことしか頭にない意地悪な老夫婦。
シロ:宝を掘り当てるなど不思議な力をもつ犬。
『花咲かじいさん』のあらすじ
むかしむかし、ある山中の里に心優しい老夫婦と、その隣に欲張りで意地悪な老夫婦が住んでいました。ある日、弱った子犬を助けた優しい老夫婦は、シロと名付け、わが子のように可愛がって育てました。
あるときのことです。シロが畑の土を掘りながら、「ここ掘れワンワン」と鳴き始めます。びっくりしたおじいさんが畑を掘ってみたところ、なんと大判小判がザクザクと掘り出されました。
それを見ていた隣の欲張りな老夫婦は、半ば強引にシロを借り、財宝を探させようとします。しかし、シロが示した場所を掘って出てきたのは、期待外れのガラクタやゴミばかり。激怒した隣の老夫婦はシロを虐待し、死なせてしまいます。
わが子同然のシロが死んでしまい悲しみに暮れる老夫婦は、お墓を作ってシロを埋め、お墓を雨風から守るために、隣に一本の木を植えました。植えた木はあっという間に大木となり、やがてシロが「その木から臼を作ってほしい」と言う夢を見るようになります。老夫婦が夢に従い臼を作り餅をつくと、なんと臼から金銀財宝があふれ出てきました。
それを知った隣の老夫婦はまたしても強引に臼を借り受けましたが、出てくるのは泥や石ころばかり。怒り心頭の老夫婦は、臼を割り燃やしてしまいました。灰となって返ってきた臼を見て優しい老夫婦は悲しみますが、再び夢にシロが現れ「桜の枯れ木に灰を撒いてほしい」と頼みます。
シロのいう通り枯れ木に灰を撒くと、なんと満開の桜が咲き乱れました。「枯れ木に花を咲かせましょう」と、次々に花を咲かせていると、たまたま通りかかったお殿様が感動し、老夫婦はご褒美をもらいました。
これをねたんだ隣の老夫婦が真似をしましたが、花は咲かないうえにお殿様の目に灰が入ってしまい、無礼者と厳しい罰を受けるのでした。
『花咲かじいさん』の教訓・感想
純粋な気持ちではなく、お金目当てで行動するとろくな目にあいません。同じ行動をしていても、欲張りな夫婦は利益のために心優しいおじいさんの行動だけ真似ます。しかも、シロを死なせたり、人のものを奪ったり、自分勝手な行動ばかり。そんな人間には、良いことは起こらないということが描かれています。