ゲーテ『ファウスト』あらすじ紹介。悪魔に魂を売り、若返った男。若い妻と結婚し、さらには女神と再婚!?

文芸・カルチャー

更新日:2024/2/8

 悪事に手を染めることを「悪魔に魂を売り渡す」という表現があります。そんな表現を地で行く契約を悪魔と交わしたのが、この物語の表題にして主人公であるファウストです。本稿では、そんな彼の終生を二部構成の戯曲として綴った、ゲーテの代表作のひとつ『ファウスト』のあらすじをご紹介します。

<第84回に続く>
ファウスト

『ファウスト』の作品解説

 本作は、ドイツの詩人・劇作家であるゲーテによる戯曲です。錬金術にまつわる人形劇の影響を受けて書かれた作品で、全編を通して特徴的な台本形式のほか、原語版では一定のリズムに則る「韻文」と呼ばれる表現技法が使われています。

 また、二部構成のうち後編は作者の死の翌年に出版された遺作でした。ゲーテの死後、数々の訳本や映画、オペラが制作されています。

『ファウスト』の主な登場人物

ファウスト:主人公。識ることに絶望を覚えた老学者。

メフィストフェレス:人の理性を信じぬ悪魔。神と賭けをし、ファウストを誘惑する。

グレートヒェン:敬虔なクリスチャンの女性。悪魔の力で若返ったファウストと恋に落ちる。

ヘレネー:ギリシャ神話の世界の美女。ファウストは幻影の彼女に惚れ込む。

神:悪魔と賭けをする。

『ファウスト』のあらすじ​​

【第一部】

 人間は理性をろくに使っていない、と語る誘惑の悪魔・メフィストフェレスに対し、神は向上心ある人間として、学問の道半ばにして迷うファウストの名を挙げた。悪魔は彼を悪の道に堕とすことを宣言し、本人も知らぬ間に賭けが始まる。

 復活祭の鐘の音で自殺を思いとどまったファウストの許へ、悪魔が降り立った。死後の魂と引き換えに全てを叶えようという悪魔の提案を、死後の世界に興味のない彼は受け入れる。「時よとまれ 汝は美しい」と言霊を口にすれば、契約は果たされる手筈となった。

 悪魔の力で20代の姿となった彼は、グレートヒェンと出会い恋仲に。しかし、ファウストとの逢引のため彼女は母に誤って致死量の睡眠薬を飲ませ死なせてしまう。悪魔の存在に勘づいた彼女の兄がファウストとの決闘で殺されてしまい、次第に彼女は精神を病んでいく。ついにはファウストとの間に授かった子を殺し、自らも投獄の末に亡くなってしまった。

 最愛の人の死に絶望したファウストは、悪魔とともに姿を消す。人生に充足した彼が言霊を口にすることを望んでいた悪魔の計画は、失敗に終わった。

【第二部】

 絶望のなか昏睡状態にあったファウストは、アルプスの自然と精霊に囲まれ活力を取り戻し、道化に扮した悪魔の手引で神聖ローマ皇帝に取り入った。国家再建に尽力する最中、彼は皇帝の無茶な要望に応えて異界から喚び出した女神・ヘレネーの美貌に魅せられる。

 ファウストは弟子の作り出したホムンクルス(錬金術師が作り出す人造人間)を伴い、悪魔の力で神代の世界へ飛び、ヘレネーと結ばれる。

 しかし、彼女との間に生まれた息子は父の向上心を継いでおり高みを目指すも、崖から墜落死してしまう。失意と共に現代へ帰ったファウストは、悪魔の力で戦争に勝利し領地を得るが、国は荒廃していた。理想の国家を作ることを志した彼は海の大干拓事業に乗り出すが、立ち退きを求めていた地元の老夫婦を誤って殺害し、さらにその報いとして「憂愁」の霊により盲目にされてしまう。

 悪魔は手下に、ファウストの墓穴を掘るよう命じる。盲目の彼はその音を土地の造成が進んでいるものと思い込み、理想の国家の完成を予感する。彼は幸福のうちに「時よとまれ 汝は美しい」と呟き、その人生の幕を下ろした。

 誓約に従い、ついに悪魔が彼の魂を奪おうとしたその時、天上から天使が降り立つ。かつての妻・グレートヒェンが聖母に捧げた祈りが届き、ファウストの魂は救済されるのだった。

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『ファウスト』のあらすじはいかがでしたか。
『ファウスト』は映画化もされており、映画を視聴することでも『ファウスト』の物語を楽しめます。

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