作中のワンシーン、キャラクターの衣装、作者のラフ画…原画だけじゃない「赤髪の白雪姫 原画展」が池袋で開催

マンガ

公開日:2023/7/20

あきづき空太デビュー20周年記念 赤髪の白雪姫原画展

〈出会いがひとつ形を変える 知らずにいた熱の在り処を あふれてくる想いを手に帯びて また次の頁をめくる〉

赤髪の白雪姫』(あきづき空太/白泉社)の主人公、白雪のセリフである。コミックス累計部数770万部、2015年・2016年にはアニメ化もされた大人気ファンタジー作品だ。2023年7月14日から7月30日にかけて、池袋サンシャインシティ展示ホールAで「あきづき空太デビュー20周年記念 赤髪の白雪姫原画展」が行われる。

 生まれつき赤い林檎のような髪を持つ白雪。市井の薬剤師として暮らしていたが、彼女の髪色を珍しがった悪名高いラジ王子に求婚されてしまう。白雪は自分の赤髪を切って、リボンで結んで部屋に残し、祖国であるタンバルン王国を去る。

 道中、ゼン、ミツヒデ、木々と名乗る青年たちと出会い、旅を共にする。ゼンはタンバルン王国の隣国、クラリネス王国の第二王子で、ゼンは白雪を客人として扱い、親交を深めていく。やがて白雪に「ゼンの力になりたい」という想いが生まれ、クラリネス王国の宮廷薬剤師を目指す。

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 あきづき空太初の単独作品展となる本展には、美しく貴重な原画が200点超展示されている。8つのエリアに分け、特に印象深いシーンがピックアップされており、白雪とゼンの物語をじっくり振り返ることができる。「出逢いの森」「王城ウィスタル」「セレグ騎士団」「セイラン領」「王城シェナザード」「リリアス」「ルギリア領」そして「あきづき先生エリア」……。工夫された動線やゆったりとした配置も楽しく、「そうそう!このシーン!」と心を弾ませてしまう。

あきづき空太デビュー20周年記念 赤髪の白雪姫原画展

あきづき空太デビュー20周年記念 赤髪の白雪姫原画展

 また、原画だけではなく主人公たちの衣装や、作品に実際に描かれた物たちがオブジェとして展示されている。たとえばラジ王子から白雪に贈られた毒林檎。カゴに入った林檎に顔を近づけると、ほんのり甘い香りがするのだ。

あきづき空太デビュー20周年記念 赤髪の白雪姫原画展

 白雪に向かって放たれた、脅しのメッセージ付きの矢も壁に突き刺さっている。ジオラマ化された薬草園や、リリアスの観賞用天幕、そして展示の目玉であるのが「フォスティリアスの輝く夜道」である。無毒化され淡く光る植物、フォスティリアスが洞窟を進む我々を包み込んでくれる。

あきづき空太デビュー20周年記念 赤髪の白雪姫原画展

 本原画展はクラウドファンディングで制作された。目標額300万円のところ支援総額は2000万円を超え、達成率751%を記録した。支援参加者は1537名だ。当初の目的は「フォスティリアスの輝く夜道を作る」ことだったが、目標額を大きく超えたことで趣向を凝らした展示物の数々を作ることができたのだという。

あきづき空太デビュー20周年記念 赤髪の白雪姫原画展

 グッズも豊富である。定番のピンズやチャーム、ハンカチはもちろん、キャラクターが描かれたクッキーや瓶入り林檎ジャムが可愛らしい。『あきづき空太図画記録書』や、ランダムで配布される「色紙風カード」もお楽しみのひとつだ。

あきづき空太デビュー20周年記念 赤髪の白雪姫原画展

あきづき空太デビュー20周年記念 赤髪の白雪姫原画展

『赤髪の白雪姫』は、7月5日に最新26巻が刊行された。あきづき空太が導くファンタジーの世界を堪能しながら、白雪とゼンのゆっくりと柔らかく進む恋物語をこれからも見守っていきたい。

取材・文=高松霞 撮影=金澤正平

赤髪の白雪姫 原画展

公式サイト:https://www.clarines-kingdom-fest.com/


会期:7月14日(金)~7月30日(日)
営業時間:10:00~18:00 ※最終入場は閉場の30分前まで
会場:池袋・サンシャインシティ 展示ホールA
(東京都豊島区東池袋3丁目1-3 サンシャインシティ ワールドインポートマートビル 4F)
主催:赤髪の白雪姫原画展 実行委員会