強盗もエイリアンも手なずけるスナックママ。珍妙な客をツッコミとボケでもてなすギャグマンガ『スナックバス江』
公開日:2023/7/25
ヤングジャンプで連載中の漫画『スナックバス江』(フォビドゥン澁川/集英社)が、アニメ化することが発表されました! 現時点ではアニメ化するという以外、なんの情報もありません。作者のフォビドゥン澁川先生も、「時は来た。それだけだ。」と一言コメントを残すのみ。
いつからはじまるのか? 声優は誰が務めるのか? あの漫画のノリをアニメで再現することができるのか!? ひとまず情報解禁されるまでは原作を読み返すしかありません。未読の方も一緒に『スナックバス江』の世界を覗いてみましょう。
珍妙すぎる客もこの店では普通
札幌北24条にひっそり佇むスナック、それが「スナックバス江」。ママのバス江とチーママの明美ちゃんが、店に訪れたお客をエキセントリックにおもてなししてくれる、1話完結のギャグ漫画です。
バス江ママは、リーゼントにサングラスというちょっと奇抜なスタイルの年配女性。明美ちゃんは見た目は若い美女だけど、中身は完全にクレイジー。そんな二人が、やってくる客にボケ倒し、あるいはツッコミまくり、無意味な会話を繰り広げていきます。客は客で、珍妙な奴ばかりなので収拾がつかずに終わることもしばしば。
ときには明らかに普通とはかけ離れたお客が来る回もあり、そうなると話もより突飛に。そんな特殊系のお客のエピソードを少しだけご紹介したいと思います。
●勇者
ドラゴンクエストの世界からやってきたかのような、勇者の格好をした客。店に旅の仲間を探しにきました。一緒に魔王を倒そうと誘われる明美ちゃんでしたが、仕事中なので断ります。しかし、勇者のまっすぐな瞳に心惹かれてしまいます。ファンタジーテイストではじまったのに、まさかあんな血なまぐさい展開になるなんて……。とはいえ勇者も楽しめるお店、それがスナックバス江なのです。
●桃太郎
あるときは犬猿雉を連れた桃太郎が来店。鬼退治の前の景気づけに一杯やりに来たのです。明美ちゃんから「桃から生まれた系の人?」と聞かれると「女の股から生まれるのがそんなに偉いのか?」という名言(?)が飛び出します。
でもよく見ると、犬と猿はチンパンジーとフレンチブルドッグで、ちょっと洋風。おまけにきび団子ではなく、マカロンを携えていたため、明美ちゃんのツッコミが止まりません。ちょっとウザめな桃太郎との攻防が笑える回です。
●強盗
バイトの面接に混ざってやってきた強盗。目出し帽をかぶり、包丁を突きつけているにもかかわらず、徹底してバイトの面接として話を進めるママと明美ちゃん。あまりにものんきな二人に、思わずツッコんでしまう強盗。気づくと焼酎を飲みながら身の上話をしています。じつはこれ、すべてママの作戦通り。強盗さえも手なずける脅威の接客術なのです。いい感じで終わると思いきや、絶望的なオチが待っているので、ぜひ読んで確かめてみてください。ちなみにこの回では、お店の新しい従業員、天野小雨ちゃんが初登場。ママと明美ちゃんのボケに辛辣なツッコミをかましてくれます。
●エイリアン
突如バーカウンターの上に現れた小さなエイリアン。大きな目と細い手足が特徴的な、いわゆるグレイと呼ばれるタイプの生命体です。普通のお店なら人騒ぎしそうなところですがここはスナックバス江。「小さい宇宙人にもしっかり御持て成ししなさい!」とママは言います。最終的にはUFOに乗って帰ろうとするエイリアンを、飲酒運転だと言って明美ちゃんが捕獲。ママが「運転代行呼ぶわね❤」と電話をかけるのですが、UFOの運転代行とは一体なんなのか。そして店にやってきた者とは…? 人間も宇宙人も平等に接客してくれるママなのでした。
ここで紹介したのは特殊系な客ですが、お店には普通のビジネスマンも訪れます。そんな人が来ても真面目に会話することが一度もないので、フォビドゥン澁川先生の思考回路は一体どうなっているのでしょうか?
ところで明美ちゃんは1巻の時点ですでに「アニメ化を狙うつもりです」と発言していたので、見事狙いが的中した形になりました。果たして、バス江ならではの独特なテンポをアニメでどこまで再現できるのでしょうか。続報を待ちたいと思います。
文=中村未来