「誰か助けて!」真っ暗な場所から抜け出せない。すると鬼のような声が聞こえ… 【僕を呼ぶ声】/意味がわかると鳥肌が立つ話 続①

文芸・カルチャー

公開日:2023/9/1

意味がわかると鳥肌が立つ話 続』(蔵間サキ:編著、大志:絵/Gakken)第1回【全11回】

大ヒットしたショートストーリー集、「5分後の隣のシリーズ」『意味がわかると鳥肌が立つ話』の続編! 恐怖感がさらにパワーアップ!何気ない物語を読み進めると、“鳥肌”の立つような意外な展開が待っていた…。恐怖だけではなく、感動、笑いなど、どっぷりはまってしまう「鳥肌」ショートストーリーをお楽しみください。

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意味がわかると鳥肌が立つ話 続
『意味がわかると鳥肌が立つ話 続』(蔵間サキ:編著、大志:絵/Gakken)

僕を呼ぶ声

 気がつくと、僕は、真っ暗な場所で、自分の身を守るように身体を丸めていた。ここにいつまでもいたら、大変なことになる。それは、わかっている。

 でも、自分の力では、ここから抜け出すことはできないだろうことも、わかっていた。

 このままここから出られなかったら、どうなるのだろうか。そんな不安も、だんだんとどうでもよくなってくる。

 遠くから、声が聞こえてきた。女の人の声だ。僕を助けようとしてくれているのだろうか。

 でも、その声からは、「優しさ」なんか、みじんも感じられない。むしろ、僕を責め立てるような響きすらある。

 体が動かない。意識がもうろうとしてくる。僕はこのまま……。

 足音が、僕のすぐ近くで止まった。相手が僕に対して、むきだしの敵意をもっていることが、ひしひしと伝わってくる。

 ――お願い! 誰か助けて!

 鬼がうなるような低い声で、女が言った。

「来なさい! 地獄よ!!」

意味がわかると鳥肌が立つ話 続

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