僕の運動会に出席したのは母だけ。お昼にお弁当を広げると、大きくていびつな形のおにぎりが…【おにぎり】/意味がわかると鳥肌が立つ話 続②

文芸・カルチャー

公開日:2023/9/2

意味がわかると鳥肌が立つ話 続』(蔵間サキ:編著、大志:絵/Gakken)第2回【全11回】

大ヒットしたショートストーリー集、「5分後の隣のシリーズ」『意味がわかると鳥肌が立つ話』の続編! 恐怖感がさらにパワーアップ!何気ない物語を読み進めると、“鳥肌”の立つような意外な展開が待っていた…。恐怖だけではなく、感動、笑いなど、どっぷりはまってしまう「鳥肌」ショートストーリーをお楽しみください。

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意味がわかると鳥肌が立つ話 続
『意味がわかると鳥肌が立つ話 続』(蔵間サキ:編著、大志:絵/Gakken)

おにぎり

 ボクのお父さんとお母さんは、いつもケンカばかりしている。今日もまた2人が、ボクのいるところで言い争いをしている。

 ボクはこの時間がつらくてたまらない。なぜなら、ケンカの原因は、たいていボクだからだ。

「子どもの運動会なのに、どうして仕事を入れるのよ!」

「どうしても外せない大事な仕事なんだから、仕方ないだろう!」

「子どもより大事な仕事がどこにあるの!? もういい! 興味ないなら、来なくていいから!!」

 そんな2人を心配そうに見ていたボクに気づいたお父さんが、悲しそうな目を向けて、部屋を出ていってしまった。お父さんは、ボクのことが好きではないのだろうか?

 そして運動会の朝になった。来てくれたのはやっぱりお母さんだけだった。

「お父さんも、本当は来たかったと思うよ」

 お母さんが、ボクに言った。でもそれは、ボクを悲しませないためのウソだろう。お父さんが運動会に来てくれないことよりも、ボクのせいで2人がケンカしたことが、ボクには耐えがたかった―お父さんとお母さん、仲直りしてほしい……。

 お昼になり、ボクはお母さんと一緒にレジャーシートに座った。

 お母さんがお弁当を広げると、そこには、ボクが大好きないつもの小さいおにぎりと、いびつな形の大きなおにぎりがたくさん入っていた。

 ボクは、それがうれしてうれしくて、いつもよりたくさんおにぎりを食べた。

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