家族で食卓を囲む、幸せいっぱいの家族。ふいに背後から声が聞こえ、振り向くと…【幸せな夕餉】/意味がわかると鳥肌が立つ話 続④
公開日:2023/9/4
『意味がわかると鳥肌が立つ話 続』(蔵間サキ:編著、大志:絵/Gakken)第4回【全11回】
大ヒットしたショートストーリー集、「5分後の隣のシリーズ」『意味がわかると鳥肌が立つ話』の続編! 恐怖感がさらにパワーアップ!何気ない物語を読み進めると、“鳥肌”の立つような意外な展開が待っていた…。恐怖だけではなく、感動、笑いなど、どっぷりはまってしまう「鳥肌」ショートストーリーをお楽しみください。
幸せな夕餉
「ほら、リンの好きなものをたくさん作ったぞ」
テーブルの中央には、大きな器に山盛りになった唐揚げ、ポテトサラダにオムレツが並んだ。
「最近は、作ってもらってばかりで、ごめんね」
妻のマリが、申し訳なさそうに、私に言う。
「いや、ママにはずっと無理させてきたから」
「リン、パパの作った唐揚げ、だーい好き!」
「そうか、じゃあみんなで食べよう」
「いただきまーす」
食べながら、私はふと視線を感じて視線をさまよわせる。
「なぁ、最近誰かに見られている気がしないか?」
「そう? 気のせいよ。ほらほら、食べましょう」
何となく気になった私は、窓のカーテンを閉めて、ふたたびテーブルについた。
ふいに背後から声が聞こえた。
「いいわね、わたしにも作ってほしいものだわ」
私はその声にハッと振り向いた。
「サツキ……」
妻の声に私は汗がとまらなかった。