「貧乏ゆすりはやめなさい!」と息子を怒鳴る父親。“自分じゃ気づかない”理由は…【貧乏ゆすり】/意味がわかると鳥肌が立つ話 続⑧
公開日:2023/9/8
『意味がわかると鳥肌が立つ話 続』(蔵間サキ:編著、大志:絵/Gakken)第8回【全11回】
大ヒットしたショートストーリー集、「5分後の隣のシリーズ」『意味がわかると鳥肌が立つ話』の続編! 恐怖感がさらにパワーアップ!何気ない物語を読み進めると、“鳥肌”の立つような意外な展開が待っていた…。恐怖だけではなく、感動、笑いなど、どっぷりはまってしまう「鳥肌」ショートストーリーをお楽しみください。
貧乏ゆすり
父親が、マモルが座るソファーに、ずかずかと近寄ると、怒鳴るように言った。
「マモル! 何度言ったら分かるんだ! 貧乏ゆすりはやめなさい!」
「だって、パパ……」
「だってじゃない! そんなクセは、みっともないぞ! すぐにやめなさい!」
「でも……」
父親がイライラした様子で、ソファーのまわりを、せわしなく動き回る。
「でも、じゃない! 自分じゃ、クセになっていることに気づかないんだ。子どものうちから、気をつけておかないとダメだぞ」
教育熱心な父親は、マモルの貧乏ゆすりが気になってしかたがないのだ。
しかし、あまり強く言い過ぎても逆効果だということは、十分にわかっている。何かにつけて反抗するようになってしまうことに比べれば、「貧乏ゆすり」くらいは許容範囲かもしれない。
「じゃあ、パパは買い物に行ってくるから、マモルはちゃんと留守番してるんだぞ」
そう言って父親は、子どもを残して買い物に出かけた。マモルが安心したように言った。
「ふぅ、ようやくおさまった……」