「今書いているホラー小説と似ている……」暗闇の中、住職から渡された謎の封筒を開けると?【封筒の中の手紙】/意味がわかると鳥肌が立つ話 続⑨
公開日:2023/9/9
『意味がわかると鳥肌が立つ話 続』(蔵間サキ:編著、大志:絵/Gakken)第9回【全11回】
大ヒットしたショートストーリー集、「5分後の隣のシリーズ」『意味がわかると鳥肌が立つ話』の続編! 恐怖感がさらにパワーアップ!何気ない物語を読み進めると、“鳥肌”の立つような意外な展開が待っていた…。恐怖だけではなく、感動、笑いなど、どっぷりはまってしまう「鳥肌」ショートストーリーをお楽しみください。
封筒の中の手紙
私は作家だ。ここ数ヵ月、原稿の締め切りに追われて、マンションの自宅にこもっている。
今日も原稿の締め切りが2つ重なっていて、朝からずっと書き続けているが、終わりは見えない。部屋に聞こえるのは、パソコンのキーボードを打つ音とエアコンの音だけだ。
どれくらい時間が経っただろう。パソコンからふと顔を上げると、辺りはすっかり暗くなっていた。パソコンの液晶画面だけが青白く光っている。
「少し休憩するか」
イスから立ち上がった瞬間、パソコンの画面がパッと消えた。電源を押してもつかない。暗闇の中、手探りで電気のスイッチを押す。
カチッ、という音だけ響いて、あたりがまた静寂に包まれた。電気はつかなかった。
そのとき、子どもの笑い声が聞こえたような気がした。私は嫌な予感がした。
「今書いているホラー小説と似ている……」
シーンとした真っ暗な部屋。子どもの笑い声。自分が書いている小説では、その直後に主人公は襲われる……。
私は突然パニックになり、暗闇の中、必死にある封筒を探した。実話を元にしたホラー小説を書くため、先日お祓いを受けたときに、「何かあったら開けなさい」と寺の住職からもらった謎の封筒だ。
手探りでそれらしき封筒を開け、スマホの明かりを頼りに、恐る恐る手紙を読んだ。そこには大きな赤い文字が書かれており、それを読んだ私は、気を失いそうになった。