AIロボットが普及した2321年の世界。快適生活を送るも、僕のたったひとつの不満は…【AI】/意味がわかると鳥肌が立つ話 続⑩
公開日:2023/9/10
『意味がわかると鳥肌が立つ話 続』(蔵間サキ:編著、大志:絵/Gakken)第10回【全11回】
大ヒットしたショートストーリー集、「5分後の隣のシリーズ」『意味がわかると鳥肌が立つ話』の続編! 恐怖感がさらにパワーアップ!何気ない物語を読み進めると、“鳥肌”の立つような意外な展開が待っていた…。恐怖だけではなく、感動、笑いなど、どっぷりはまってしまう「鳥肌」ショートストーリーをお楽しみください。
AI
2321年。
オレは、AIロボットと一緒に暮らしている。名前はハロ。ハロは、そのときの状況を瞬時に察知して、快適な室温に整えてくれる。毎日の食事も、栄養面を考えて、完璧に用意してくれるのだ。
「お腹が空いた」
『今日の朝ごはんは、パンとサラダ、目玉焼き、いちご、牛乳です』
お腹がいっぱいになって、一眠りすると、適度な時間にハロが起こしにくる。
『散歩の時間です。寒いのでこれを着てください』
ハロはボクの体調をいつでも気にしてくれて、定期的な運動をするように促してくれる。洋服も最新のカッコいい服を用意してくれる。まさに至れり尽くせりだ。
でも、一つだけ不満がある。それは、部屋の外に1人で出ることだけは禁止されている、ということだ。「危ないから」というのが理由だそうだが、過保護すぎやしないだろうか。もうオレは立派な大人だ。たまには1人で自由に歩きたい、と日々思いながら窓の外を眺めている。