環境を大切にしないと、大好きな回転寿司もなくなっちゃうの?/池上彰のこれからの小学生に必要な教養
公開日:2023/8/2
フリージャーナリスト・池上彰氏による、小学生に必須の教養本『池上彰のこれからの小学生に必要な教養』(池上彰/主婦の友社)。「お金」「政治」「歴史」「SDGs」「インターネット」の5つの分野から厳選した教養を伝える。小学生が「自分ごと」としてとらえられるよう工夫するとともに、誰かに質問されたときに自分の中から引き出してアドバイスできる人=「教養がある人」を目指せる一冊。本書の中から、大人の学び直しにもおすすめの教養を、全6回で紹介します。
※本稿は、『池上彰のこれからの小学生に必要な教養』から、一部抜粋・編集しました。
SDGsの教養 大好きな回転寿司もなくなっちゃうの?
海の水が温かいままだと、おいしい魚がとれなくなる
脂の乗ったサンマやサバ、おいしいですよね。最近、こうした魚がとれなくなってきました。実はここにも温暖化の影響があります。私たちが食用にするおいしい魚の多くは、北の方に住んでいます。南の海にいるのはきれいな熱帯魚で、マグロやイワシはいません。おいしい魚はたくさん餌を食べますが、南の海には餌になるプランクトン※が少ないからなんです。
水には、温まると上に行き、冷えると下に行く性質があります。お風呂に入って、下の方が冷たくてびっくりしたことはありませんか? 北の海では、夏に温まった水が冬には冷えるので、水が上に行ったり下に行ったりとかきまぜられます。すると、海底にたまっていたプランクトンが上がってくる。これがおいしい魚の餌になるわけです。温暖化が進んで海水がずっと温かいと、水はかきまぜられません。プランクトンは海底に沈んだまま。こうなると、おいしい魚がどんどんとれなくなってしまうんですね。
※水の中に漂っていて、あまり自分で泳げない生き物。たとえばミジンコやミドリムシはプランクトンです
寿司の危機を呼ぶ海の温暖化
マグロやウナギは絶滅の危機にあるといわれています。台風の増加や、温暖化による海中の様子の変化で、貝類などの漁獲量にも影響が出ています。