不安や心配で眠れない…。そんなときは、過剰に働いている意識を止め深い眠りへ誘う「魔法のフレーズ」を!
公開日:2023/8/6
時々、上手く眠れないことがある。体は疲れているのに、目を閉じると嫌なことを思い出して眠れない。とにかく寝ようと頑張るが、ますます目が冴えてしまう。おかげで翌朝は寝不足……こんな経験をしている人は私だけではないはず。
このように考えすぎて眠れないアナタを助けてくれるのが『無意識さんの力でぐっすり眠れる本』(大嶋信頼/ダイヤモンド社)。カウンセリング歴30年のベテラン心理カウンセラー・大嶋信頼氏による、「無意識」の力で眠るためのコツを紹介しよう。
なぜ眠れないのか? 意識と無意識の関係
睡眠は無意識の行動で、呼吸やまばたきと同様、しようと思わなくても自然にできるもの。「早く寝なくちゃ」などあれこれ考えると意識が働きすぎるため、眠れなくなってしまう。
眠るには、意識を無意識へバトンタッチする必要がある。そのため本書が勧めるのが、催眠療法をベースにした自己暗示フレーズを唱えること。「催眠」というと、かけられた人が急に倒れるようなあの場面を想像するかもしれないが、れっきとした心理療法の1つだ。
たとえば、アスリートが行う試合前のルーティン。これは気持ちが高ぶっているとき、“あえて”いつもと同じ動作をすることで意識を混乱させ、無意識を引き出す催眠療法を使ったテクニックなのだそう。
本書では意識を“あえて”混乱させるための「暗示フレーズ」を使っていく。頭の中で唱えるだけで、カウンセラーが催眠をかけたのと同じように無意識を働かせることができるようになっている。すぐに取り入れられるので、簡単に紹介していこう。
無意識を呼ぶ暗示フレーズ「夢まかせ」
本書では、眠る前に唱えるだけで無意識を引き出す「魔法の暗示フレーズ」が10個掲載されている。その中でも寝る前、「明日のプレゼンで失敗するかも」など、まだ発生していないことに対する不安で眠れない人におススメなのが「夢まかせ」というフレーズだ。
私自身、よくこれが原因で眠れなくなるので、実際に試してみた。解説によると、夢を見ることで、脳で情報処理が行われ、知識が定着したり、記憶が整理されたりする。まだ情報整理できていない目が覚めている状態の頭で考えるより、眠っている状態の頭に任せたほうがうまくいく、ということのようだ。それを読んだ上で「夢まかせ」と唱えると、「今考えても仕方ない」と思考を手放す感覚があった。その後は覚えていないので、ぐっすりと眠れたのだろう。
暗示フレーズは、意味が分かるようではっきりとは分からないように作ってあるという。意味を掴みきれないことで意識が混乱し、無意識を引き出す仕組みになっている。何の用意もいらないので、ぜひ今夜から試してほしい。
あえて意識を使って眠る「5回呼吸法」
暗示フレーズでは眠れなかったという場合は、あえて意識を使おう。布団の中で羊を数えるというよくあるこの行為は、「眠る」に向いた意識を、数を数えるという別の作業へ移させるテクニック。こうしたワザに自己暗示を交えた方法が5つ掲載されている。その中から「5回呼吸法」を紹介しよう。
このテクニックは、特にストレスで眠れない人におススメ。頭の中を埋め尽くす不満を、息とともに吐き出す方法だ。
まず、息を吸うとき「言葉にする能力が酸素とともに私の中に取り込まれていく」と唱える。吐くときは「自分の今日1日の感情が言葉とともに吐き出されていく」と唱える。コツは意識的にゆっくりと呼吸をすること。自己暗示をかけるため、言葉も重要だ。本を見ながらでもOKなので、頭の中でしっかり唱えよう。
5回繰り返すことで「言葉にできなかったストレスを吐き出せた」と自己暗示がかかるという。1日ではよく分からないが、続けていけば効果を感じやすくなっていくそうだ。
本書は、テクニック以外にも本自体に読むだけで眠くなる仕掛けがちりばめられている。突然主語が変わったり、過去と現在が入り乱れたり、意識を混乱させ無意識の世界に入りやすくしているという。枕元に置いて、眠れない夜のお供にしてみよう。
文=冴島友貴