子どもの「理科苦手」意識を吹き飛ばす! 「なんで?」の疑問を読み解き、サイエンスが好きな子ども博士を生む「100」の世界
公開日:2023/8/10
国語、算数、理科、社会、英語という5教科のうち、意外と多いのが「理科が好きじゃない」という子ども。自分も小さい頃はそうだった…という親御さんも多いのではないでしょうか。ここに「化学」や「物理」が加わって内容が難しくなると、さらに苦手意識が増してしまう…というのもよく聞く話。
そこで「子どもにもっと理科を好きになってほしい」と願う親御さんにおすすめなのが、『くらべるためすサイエンス100 ぜーんぶ100で解き明かせ!』(川村康文:監修/新星出版社)です。
この本では「100」というキリのいい数字を軸に、長さと距離、重さ・体積、時間、温度、広さなどに関する身近な疑問が挙げられています。「100」を基準にそれぞれの単位で比較することで、その違いに気づいたり、疑問を解き明かしたりしていきます。
身のまわりにある物や場所がわかりやすいイラストで登場するため、「理科は難しい」「どうせわからないから」と苦手意識を感じている子でも、ページのどこかに関心のあるものを見つけて、すっと自然に読み進めることができそう。
実際、超文系で理科が得意ではない筆者や、まだ理科を始める前の小学1年生の息子も、「へ~!」「そうだったの!?」などと反応しながら楽しく読むことができ、「この本が理科を好きになる入り口になるのでは?」と感じています。もちろん、理科大好きっ子はますますサイエンスに夢中になること間違いなし! いくつか、本書のページをピックアップして紹介します。
最初に紹介するのは「地上・地下・水深100mってどんな世界?」という疑問に答えてくれるページ。いずれも、私たちの普段の生活とは別の世界が広がっているような気はしますが……。
水深100mの場所は、太陽の光が届きにくく、カツオやマグロなど多くの魚が生息しているとか。水圧は地上の約11倍で、人間の肺などがつぶれてしまう危険があるため、簡単に行ける場所ではないのだそう。筆者の息子も、水深100mは「こんな場所かも」「こんな魚がいるんじゃない?」と想像していたことが、「そうだったんだ!」という発見や確信に変わっていくようでした。
地上100mはどうでしょうか? 上を見上げても、どのあたりが高さ100mなのかよくわからないけれど、「高層マンションの25~30階くらい」と言われて「なるほど」と納得。「じゃあ高さ634mのスカイツリーは、建物にすると150~180階はあるね!」など、ここからさらに好奇心を広げ、新たな発見を積極的に探していくことができそうです。
次に紹介するのは「100年」という時間軸について考えるページ。今から100年戻った過去に人々はどんな暮らしをしていたの? 今から100年進んだ未来はどう変わっていくの?
本書によれば、今から100年前の大正時代は、人が自転車や自動車に乗るようになり、都会には劇場や映画館ができるなど大衆文化が花開いた時代だったとか。
興味深いことに、1920年に発行された『日本及日本人』という雑誌では、有識者たちが日本の100年後を予想し、「家にいても舞台の劇が見られるかも」「乗るだけで進む乗りものができるかも」と、まさに現代にあるものを的確に予想していたそう。
ちなみに今から100年後は、テクノロジーの進歩で交通機関がさらに自動化し、気候変動が進むことで環境システムがさらに進化する、と考えられているようです。たとえば、突然降る激しい雨に備えて、手を使わないで雨を避けられるような雨具が開発されるかも! サイエンスの知識があれば、こんなことまで予想できるようになるなんて、感動してしまいます。
自分の未来予想が楽しくなりそう
これまで紹介したページからも伝わると思いますが、サイエンスは知れば知るほど面白い! 「100」の世界が子どもたちの想像を広げ、どんどん新発見につながっていきそうです。
理系が苦手だった親にとっても楽しく、「これなら一緒に勉強できそう。子どもにも教えられるかも」という感想を持ちました。また、本書を読むことで「まずは身近なもので考えてみよう」という視点を持つようになり、ちょっと難しい化学や物理にもチャレンジしやすくなるのでは、と感じています。
巻頭には、長さ100cmの超ロング折り込みが付いていて、「100年年表」には、過去の部分に家族や身のまわりの人の歴史を、未来の部分には「将来こうなりたい」という理想のプランや自分の未来予想を書きこむことができます。本書でさまざまな知識を得ることで、自分の未来予想が楽しくなりそうです。
文=吉田あき
◆新星出版社のライフマガジン『Fun-life!』
https://fun-life-shinsei.com/