人間を怖がらせたい幽霊の話。人間が怖がった意外なものとは?/3分間ミステリー らせんの迷宮1①

文芸・カルチャー

公開日:2023/8/23

『怖がらせたい』にかくされた意味

 幽霊といっても、いろいろいます。

 今どきの幽霊は昼間でも現れますし、おしゃれな服も着ています。

 足もありますし、テレビからは出てきますし、スマホだって使います。

 でもこの話の幽霊は、白い着物を着て、まわりに火の玉を飛ばし、出る時も「うらめしや~」なんて、ちょっと古いタイプの幽霊みたいですね。

 古いといえば、昔は幽霊と火の玉は、セットだったんです。

 ひゅ~どろろ~、と現れる時、幽霊の後ろには火の玉が飛んでいました。

 もちろん主役は幽霊のほうで、火の玉はオマケみたいなものですが。

 でも若者たちには、幽霊よりも火の玉のほうがこわかったようですね。

 準備万端で待ち構えていた幽霊本人は、なんだか納得がいかないご様子。

 でも、これは幽霊のかん違いです。

 若者たちが恐れたのは、幽霊の連れてきた火の玉たちではなかったんです。

 月も星も出ていない夜のはずなのに「きれいな星が出てる」と言っていますが、それは星ではありません。

 幽霊が現れたのと同時に、空から巨大な火の玉が降ってきたのです。

 燃えあがる巨大な隕石です。

 同じ火の玉でも、幽霊の付属品とはスケールがまるで違います。

 目の前に幽霊が現れても、それどころではありません。

 

 この後、どうなったのでしょう。

 もし、この隕石の衝突で人類が滅んでしまったなら──。

 この幽霊は、たくさんの仲間が増えたかもしれませんね。

<第2回に続く>

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