満月の夜、魔法の薬を大鍋でグツグツ煮る魔女。彼女が薬を作る目的とは?/3分間ミステリー らせんの迷宮2②
公開日:2023/8/24
『かくされた意味に気がつけるか? 3分間ミステリー らせんの迷宮』(黒史郎/ポプラ社)第2回【全16回】
1話2~3ページの短い物語を読み、その中の”かくされた意味”を考える『かくされた意味に気がつけるか? 3分間ミステリー』シリーズ。物語を読み終わったら想像力を巡らせ、解説ページで答え合わせをするのがこのシリーズの楽しみ方! 今回の連載ではシリーズのなかでも人気の4冊から、それぞれ4つの物語をご紹介します。やさしいものから大がかりなトリックが仕組まれたものまで、あなたは物語の真の意味にたどり着けるか?
魔女の大ナベ
「ヒィーッヒッヒッヒッヒィー」
暗闇の森に、不気味な声が響き渡る。
森の奥にある、小さな家。
ここには、一人の魔女が住んでいた。
今夜のような満月は、魔法の力がとても強くなる。
その力を利用し、魔女は《魔法の薬》を作るのだ。
大きなナベを、大きなシャモジで、ぐるーり、ぐるーり、かきまわす。
大ナベの中では、紫色の汁がグツグツと音を立てながら煮えている。
汁の中には、いろいろな種類の薬草や気味の悪い色のキノコが入っている。
台の上には、たくさんの珍しい植物とヤモリの死体が。
魔女は真っ赤な目でナベを見つめ、薬ができるのが待ち遠しい。
「ヒィーッヒッヒィィィー、よく効く薬になーれ。よく効く薬になーれ」
グツグツグツ。ぐるーり、ぐるーり。
グツグツグツ。ぐるーり、ぐるーり。
「我が主、魔王よ。わたしはあなたに、なんでも捧げます。ですからどうか、お願いです。復活を! 力を! 蘇れ! 蘇れ! わたしのペロちゃん! ヒィーッヒッヒッヒィィィーン、ヒィィィン、ヒエェェェーン」