男が池に斧を落とすと、池から女神様が登場! でもなぜか目がトロンとしていて…/3分間ミステリー らせんの迷宮4④

文芸・カルチャー

公開日:2023/8/26

『正直者』にかくされた意味

 これは有名な童話、『金の斧と銀の斧』と同じシチュエーションですね。

 主人公の男の人は、金の斧も、銀の斧も選えらびません。

 自分が落としたのは普通の鉄の斧ですと答え、その正直さを女神に褒められて、金と銀、両方の斧を授かる、というお話です。

 

 でもこの話では少し違うみたいです。

 彼も正直者なので、金の斧も銀の斧も選びませんでした。

 でも、どちらの斧を落としたのかという質問に彼が指をさしたのは──。

 女神様でした。

 落としたのが斧ではなく女神様って、どういうことでしょう?

 彼は、気づいてしまったのです。

 登場時から、女神様の様子がおかしいことに。

 その様子が、まるで恋する乙女のようであることに。

 自分が、女神様を恋に落としてしまったことに。

 男は正直がゆえ、感じたままをまっすぐに伝えました。

 ──私が落としたのはきっと、あなたです。

 女神様は認めてしまいました。

 女神様も気持ちをごまかせない、正直者だったんですね。

<第5回に続く>

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