毒リンゴを食べたはずなのに…。鏡が「白雪姫が一番美しい」と言い続ける理由/3分間ミステリー 3つのトリック4⑧
公開日:2023/8/30
『かくされた意味に気がつけるか? 3分間ミステリー 3つのトリック』(黒史郎/ポプラ社)第8回【全16回】
1話2~3ページの短い物語を読み、その中の”かくされた意味”を考える『かくされた意味に気がつけるか? 3分間ミステリー』シリーズ。物語を読み終わったら想像力を巡らせ、解説ページで答え合わせをするのがこのシリーズの楽しみ方! 今回の連載ではシリーズのなかでも人気の4冊から、それぞれ4つの物語をご紹介します。やさしいものから大がかりなトリックが仕組まれたものまで、あなたは物語の真の意味にたどり着けるか?
しら雪姫
「鏡よ鏡、この世で一番きれいなのは、だーれ?」
「はい。白雪姫です」
「なんですって? この世で一番きれいなのは、わたしでしょう?」
「いいえ、白雪姫です」
「ぐぬぬぬぬ、あの女めぇぇ」
白雪姫の新しい母親となったお妃様は、自分よりも美しい白雪姫のことが許せません。
そこで、魔法使いの老婆に変装し、白雪姫に毒リンゴを食べさせることにしました。
「このリンゴ、とっても甘い香りがする。こんなにいっぱいありがとう、おばあさん」
毒入りだとも知らず、白雪姫はリンゴをたくさん食べました。
ぜんぶ食べ終わると、彼女はフッと意識を失って倒れてしまいます。
そして、まるで死んでしまったかのように眠り続けたのです。
「ほっほっほっ。永遠に眠り続けるがいい。これでわたしが一番よ。おっと、証拠隠滅はしておかなきゃね」
お妃様はこっそり、毒の入っていた瓶を処分しました。
「鏡よ鏡、この世で一番きれいなのは、だーれ?」
「はい。それは白雪姫です」
「な、な、なんですって⁉ もう、あの女は永遠に眠ったままなのよ? きれいだろうと意味がないでしょ! あんた、もう一度、考え直しなさい!」
すると、鏡はグググッと自力で向きを変え、あるものを自身に映しこみました。
それは、テーブルの上に置かれている黒い小瓶です。
「えっ、なんで、その瓶がわたしの部屋にあるの?」