第3回「スキップとローファー」/鈴原希実のネガティブな性格がちょっとだけ明るくなる本
更新日:2024/10/21
「人間関係ってなんでこんなに難しいんだろう。」
きっと誰しも一度は思ったことがあると思います。
相手の考えていることが分からなくて思い悩んでしまったり。
何気なく口を突いて出た言葉が、実は知らず知らずのうちに相手の心を抉ってしまっていたと後から気付いて、気付いた時にはもう遅かったり。
ちょっとしたすれ違いから、仲直り出来ずに結局疎遠になってしまったり。
こういった経験があるという方って案外多いのではないでしょうか?
特に学生時代が多いと思うのですが、社会人になってからも人間関係の悩みは尽きないと思います。
今回紹介する「スキップとローファー」という作品は、そういった人間関係の悩みを抱えている方に読んでいただきたい作品です。
何といってもこちらの作品、とにかく心理描写が丁寧で、人間関係や感情の動きがリアル。
この子達実在してるんじゃないか?と思ってしまうほどです。
例えば、主人公のみつみちゃん。
入学を機に地方から上京してきた女の子で、入学初日に迷子になって入学式に遅刻した挙句、緊張しすぎて先生に向かって吐いてしまうという、かなり強烈な登場を果たした女の子なのですが。
地方にいるお友達に心配をかけたくなくて、電話口で「楽しいよ」って嘘をついてしまったり、周りの人の悪意みたいなものを薄々感じ取っていても、それに負けないように堪えたり。
ただ天然な子ではなくて、人間味があって芯の強い子というところが凄く良いなと思うのです。
他にも人気者で人当たりの良い志摩くんが、触れられたくない過去を他人に無神経に探られた時に、微笑みながら本気でキレたり。
明るくて順風満帆に見えるミカは、実はコンプレックスの塊でありのままの自分じゃ愛されないという思いをずっと抱えていたり。
みつみちゃんだけでなく、登場人物全員に人間味があるところがこの作品の魅力だと思います。
そして、登場人物だけでなく登場するエピソードも凄くリアル。
学生時代を思い出すものが多いです。