人間はもともと、勝手にやせる力を持っている

「はじめに」の導入部分だが、ここだけ読むと、そんなこと本当にあるのだろうかと思う人もいるかもしれない。冒頭に書いたような報われないダイエットストーリーが生まれてしまうのは、著者いわく「役者が違う」からだそうだ。役者とはつまり、ダイエットで本当に働かせるべき自分の細胞、血液、内臓、神経などのこと。むしろ自分自身がプロデューサー。役者たちが役を全うできるように整えて、癒して、指揮をとることが大切なのだとか。著者自身、25年間あらゆるダイエットを試した上で、最終的に「自然やせ力」によって成功しているので、説得力がある。

　東洋医学の多少難解な部分もイラストでわかりやすく説明されているので、あまり馴染みがないという人も理解しやすいだろう。

まず自分の太り方を知り、食べることから

　東洋医学の考え方では、太り方にもいくつか種類があるという。太り方（＝原因）が違えば、痩せ方も異なるのだそう。本書では6つに分類し、紹介している。

　ベストな状態が「中庸」。体の陰陽のバランスが取れていて、気、水、血という3つの要素が問題なく機能している状態だという。私の場合は明らかに「湿熱」で、ぽっちゃり暑がりタイプであった。血液トラブルと水分トラブルが絡み合った体質なのだそうで、冷たいものを飲みがち。身に覚えがありすぎて驚いた。

　なお、「◯◯タイプの太り方だった……」と落ち込む必要はない。原因がわかれば対処すればいいのである。この本では、各ページの右上に必ずどの体質に合っているものなのかが示されているので、自分に必要なものをピックアップしやすい。

メンタルや睡眠……ダイエット以外にも役立つ情報が満載！

　朝、昼、夕方、夜にお勧めの運動、体質に合わせたお風呂の入り方など、様々な種類のお役立ち情報が載っている。座りっぱなし、立ち仕事、ヒールで闊歩するなど、人間一日過ごせばどこかしら体に無理をさせているものだ。

　たとえ今ダイエットが必要なくとも、メンタルを安定させたい、毎日を生き生きと過ごしたいというような人に役立つ情報も満載である。

健康な毎日を送るために、自分自身に養生

　細くなければ、スタイルが良くなければ、と無理する必要は全くない。ただ、誰しも健康ではいたいはずだ。「自然やせ力」とは、健康で生きる力とも考えられる。すべてを取り入れるのは難しいかもしれない。簡単に今すぐできることもたくさん載っているので1つでもいい、やってみれば、きっと体の調子が変わっていくはずだ。

「養生してください」という声がけは「ご自愛ください」とも言い換えられる。ダイエットをしたい人はもちろん、たまには自分をいたわってみたいと思う人にもぜひ目を通してもらいたい本である。

文＝宇野なおみ