「不安性、悲観的な人」に合った職業とは? どんな特性の人にも輝ける場所があると『天才性が見つかる 才能の地図』が教えてくれた

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更新日:2023/10/5

天才性が見つかる 才能の地図
天才性が見つかる 才能の地図』(鈴木祐/きずな出版)

「才能があれば仕事がうまくいくのに」、または親であれば「わが子の才能は何なのか?」と思い悩む人がいるかもしれない。自分やわが子の才能が見つかれば、未来はより明るくなりそうだ。

天才性が見つかる 才能の地図』(鈴木祐/きずな出版)は、師匠である猫(120歳)と弟子である人間(20代)がユーモラスかつやさしい語り口で会話をしながら、「才能って何?」「自分に才能はあるの?」「才能はどうやって見つけるの?」という疑問に答えていく本。社会の壁にぶち当たっている人、就活を控えている人、子どもの将来が心配な親などに読んでもらいたい、と冒頭で願っている。

 さて、本書では「才能を発揮できない人」の特徴を、次のように述べている。

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(1)「好き」や「得意」なことで才能を探そうとしている
(2)人生を成功に導く「特別な能力」があると思っている
(3)人生は「生まれ」で決まると思っている

 これらが「自分の才能を発揮させていない」と理解しない限り、いつまでも「才能がない」という悩みが続くそうだ。本書は(1)から(3)について、それぞれ科学的な検証や実験なども踏まえながら解説している。

 では、逆に「才能を発揮できる人」の特徴とは、どのようなものだろうか。まず、「才能のルール」を次の3つに絞って、解説している。

才能のルール(1)人生とは「異能バトル」である
才能のルール(2)才能とは、グループ内の「かたより」が評価された状態である
才能のルール(3)ルールがあいまいな世界ほど、あなたは異能バトルに勝ちやすくなる

 本書は、【才能のルール(1)人生とは「異能バトル」である】を解説する上で、「さるかに合戦」を例に出して進めていく。ご存じのとおり、猿に勝てない栗、臼(うす)、蜂、牛糞(ぎゅうふん)といったキャラクターたちであっても、各自が異能という才能を発揮することで、猿に勝ってしまう。

 つまりは、各キャラクターは【「好き」や「得意」なことで才能を探そうとした】のではなく、【「特別な能力」をもっていた】のでもなく、その状況における適材適所で自分がもっていた才能を発揮した、ということらしいのだ。

 例えば、個人の性格と年収の関係について、ノーベル賞を取った経済学者のジェームズ・ヘックマンなどの調査が紹介されている。この調査によると、「感情が安定していて、不安や悲しみを覚えにくい人」は、ストレスの多い環境で働いたり、プレッシャーの中で決断したりする仕事で能力を発揮しやすく、実際に年収も高いそうだ。具体的な職業としては、投資銀行家、神経外科医、消防士などが挙げられている。

 逆に「不安になりやすく、すぐに未来を悲観的に考えるような人」にも合う職業がある。細部への注意や、高い注意力を求められるため、交通の安全を守る仕事、健康管理に関する仕事、学術研究などが向いているそうで、これらの仕事では先述の「感情が安定した人」よりも稼ぐケースが多いという。

 また、「明るくて社交的な人」は、他人との交流が多く、いろいろな人と信頼を築き、人間関係を維持しなければならない仕事で高収入をあげやすいそうだ。具体的な職業としては、広報担当、カスタマーサービス、教師、看護師など。対して「口数が少なくて非社交的な人」は、厳しい意思決定や率直な発言が求められる仕事、つまり経営者、財務責任者、弁護士、医師、スポーツチームの監督などで年収が高くなる傾向があるそうだ。

 本書はこの他にも、IQの高さと才能、現代の「多様化」時代での才能の考え方や捉え方など、誰もが才能を見つけられるようなヒントが数多く語られている。

 科学的にも「誰にでも才能はある」といえるとも書かれている。才能で悩んでいる方に、本書をお薦めしたい。

文=ルートつつみ(@root223