秋のはじまりを感じる絵本(2023年9月 新刊&おすすめ絵本)

文芸・カルチャー

公開日:2023/9/16

起き抜けに窓を開けたときの風、ふと見上げた空に浮かぶ雲の形、じんわりと色づいた葉っぱ。あなたが秋の到来を感じるのはどんなときですか? 五感をそっとなでていく新しい季節のサインに触れるたび、胸が躍るのを感じます。それは、めぐる季節の中で生きている幸せを感じる瞬間です。

子どもたちは、そんな身近なところに潜むサインを発見する才能に満ち溢れています。彼らが最初に気づく秋のサインは「どんぐり」かもしれません。父さんリスが夏に埋めたどんぐりを探す『ドングリさがして』、木から落ちたどんぐりの一生に思いを馳せる『どんぐり』。また、『いぬのにっちゃんあきとふゆ』では、秋ならではの植物や動物を見つけるお手伝いをしてくれます。

お散歩や公園遊びが楽しい季節、秋の風景が印象的な絵本から、身近の自然へ目を向けて、季節を感じる感性を一緒に育んでいきましょう。 

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気分は富士登山! 頂上までの様子や季節の景色、生息する動植物など、富士山博士になれる写真絵本『ふじさんにっぽんいち!』

ふじさんにっぽんいち!

写真:峯村温 監修:佐野充

出版社からの内容紹介

日本一高くて美しい山として知られている富士山ですが、実際はどのような山なのでしょうか。本書では、そこに生息する動物や植物をはじめ、高度によって変わる風景、四季の変化、山の成り立ちなど、さまざまな角度から富士山を紹介していきます。

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未知の世界も、こわ~い出来事も、面白がれば前へ前へと進んでいく。無声アニメーションのような『たびにでよう』で、不思議な魔法の旅へ

たびにでよう

作:降矢なな

出版社からの内容紹介

「たびにでよう たびにでよう リュックをせおって あるいていこう」
そんなリズミカルな言葉から始まる、男の子と犬のふしぎな冒険物語です。

木になっているリンゴを食べたら耳が大きくなって、いろいろな音が聴こえてきたり……。木イチゴを食べたら鼻が長くなって、きれいな小鳥たちがとまりにきたり……。
ほとんどのページに文字がなく、奇想天外なできごとがアニメーションのように左から右へと描かれています。

「この絵本の中には、当時の私の気持ち……まだ見ぬ新しい世界への期待や不安、そして希望がこめられています。この本のページをめくりながら、主人公の男の子と黒犬と一緒に不思議な世界を旅してください。そして、みなさんがいつか「たびにでよう」って、広い世界への一歩を踏み出してくれたらうれしいです。」(著者あとがきより)

降矢ななさんが、今も暮らすスロヴァキアへ旅立った年にうまれた絵本。
1992年初版の『たびにでよう』の改訂新版。改訂新版よりあとがきを追加しています。

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秋や冬、どんな動物や植物に出会えるかな? 身近な自然の知識から季節を感じる力を育む観察絵本『いぬのにっちゃんあきとふゆ』

いぬのにっちゃん あきとふゆ

作:秋草愛

出版社からの内容紹介

身近な自然を楽しむ絵本
さまざまに色づく秋の葉っぱ、草花がすっかり枯れ果てた冬の河原にひっそりと息づく、小さな生き物たち。秋から冬へと少しずつ変化していく季節の中で、どんな植物や生き物に出会えるかな? いぬのにっちゃんやねずみ君と一緒に身近な自然を探してみよう。巻末に、植物や生き物の豆知識を解説した図鑑さくいん付き。おもしろい自然の知識がいっぱいの自然観察絵本です。

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自らが体験した戦争の悲惨さや怒り、平和への願いを子どもたちに伝える生前未発表作品。かこさとしが愛した『秋』の美しさが続くように、と

著:かこさとし

出版社からの内容紹介

かこさとし未発表作品、ついに刊行!

倉庫に眠っていた、かこさとし未発表作品は、コロナでステイホームの期間中、
加古総合研究所の鈴木万里さん(かこさとし長女)が作品整理中に見つけたものです。
この作品の最初の原稿執筆が1953年、なんと構想から実に68年、
半世紀以上を経て初めて世に出るオリジナル作品です。

テーマは、かこさんが終生、憎んでいた「戦争」です。
太平洋戦争のとき、高校生だったかこさんが体験した実話です。
戦争の悲惨さに怒り震えるかこさんが、いつまでも忘れないようにと
子どもたちに伝えようとした作品です。
平和を願うかこさんの強い思いが込められています。

子どもたちの未来を考えるすべての皆さんに、天国のかこさんからの贈り物です!

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梢から落ち、森の木となるもの。動物の生きる糧となるもの。ひっそりと死んでゆくもの。季節を超えてめぐる生命の気配を描く『どんぐり』

どんぐり

作・絵:たてのひろし

みどころ

見上げる木々の梢から、無数のどんぐりが降ってくる。
こんな光景から、この絵本は始まります。
地面に落ちた美しいどんぐりたち。しかし、ページをめくるたび、それらは森の生物たちに食べられていきます。
野ネズミが食べ、鳥が咥え去り、穴が空いたどんぐりの表面からは中を虫が喰ったことがわかります。
そこから生き残って根を出し芽吹いたどんぐりも、若芽が動物や虫に食べられ、ほとんどが死んでいきます。
けれども……。

この絵本は絵だけで進んでいきます。
どんぐりが落ちた地点を定点観測するように、めぐる季節を越えて、植物、生物たちの営みが描かれます。
精緻に描かれた画面に見入っていると、葉擦れの音や土の匂いまでしてきそうです。
モノクロと鮮やかな色彩の対比も、ハッと目を惹きつけられます。

生きようとする命が、他の命の糧になっていく。
ここに描かれる森の生命のやりとりに、誰もが圧倒されることでしょう。
命を見つめ、向き合い続ける作者・舘野鴻さんだからこそ生まれた一冊。
幅広い年齢の読者に手に取ってほしい絵本です。

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【動画】もっと知りたい!好奇心を育む 絵本・児童書22選

文:栗田奈緒子 編集:木村春子