9月29日は中秋の名月 お月見の絵本(2023年9月 新刊&おすすめ絵本)
公開日:2023/9/16
澄んだ空と地上を明るく照らす美しい月。古くは貴族の習慣だった「お月見」は、江戸時代に庶民に広がり、稲の収穫がはじまる時期に秋の農作物をお供えして、実りへの感謝と翌年の豊作を祈る行事になったそうです。
稲穂に見立てたススキは、邪気や魔よけの意味を持ち、また月の神様をお招きするより代に。満月に見立てたお団子はもちろん、里芋や栗、ぶどうをお供えしてもいいですね。
2023年の中秋の名月は9月29日。また、この日は満月です。古くから日本で大事にされてきた行事に、まずは絵本で楽しく触れてみるのはいかがでしょうか。
『10ぴきのかえるのおつきみ』、『14ひきのおつきみ』では、お団子やススキ、お月見台を用意して……物語を通じて、お月見の準備をおさらいです。『おつきみ』や『おつきさまでたよ』では、雲が月を隠してしまってドキドキ!『ぼく、お月さまとはなしたよ』みたいに、お月さまとお話ししたくなっちゃうかも。
厳しい夏を迎えた今年は、頑張って育った野菜やお米に感謝の気持ちがいっそう強くなります。自然を慈しむ心も、きっと絵本から伝わるはず。さあ、絵本の中のみんなと一緒に、お月見を楽しみましょう。
沼の友だちを招待して、にぎやかに祝う『10ぴきのかえるのおつきみ』 お団子作りにススキ探し、準備もきっと楽しくなる!
10ぴきのかえるのおつきみ
作:間所 ひさこ絵:仲川 道子
出版社からの内容紹介
世代を超えて愛され続ける「10ぴきのかえる」シリーズ、秋の読み聞かせにぴったりの1冊!
秋が近づいた夜のこと。ひょうたん沼では、10ぴきのかえるがお月見を心待ちにしています。みんなでお月見をするために、うしがえるさんやけろこちゃんに、招待状を出しました。
そして、いよいよお月見の日。今年は、10ぴきのかえるがすすきのはらに、すすきを取りに行くことになりました。ばったに道案内をしてもらい、すすきのはらに到着! 10ぴきのかえるは、みんなで協力して、一生懸命すすきをとりました。
ところが、帰り道のこと……。みんなですすきをかついでいると、なんとっ、まちがえるがお昼寝中のへびのしっぽを踏んでしまったのです。にげろ、にげろ、けろ、けろ、けろ! 10ぴきのかえるは、へびから逃げようとみんなで力を合わせます!
すすきを飾り、お月様にお団子をおそなえする――元気なお話のなかから秋の風習が伝わる絵本。
「でかぐもさん」が月を隠しちゃった! おもちゃ箱の電車に乗って、えっちゃんと猫のミュウが大活躍。想像を育むファンタジー『おつきみ』
おつきみ
作:あまんきみこ 絵:黒井 健
みどころ
今夜は十五夜。えっちゃんは、朝からおかあさんのお手伝い。
「おつきさんに そなえる おだんごを つくるのよ」
「いそがしい いそがしい」とおだんごを丸めています。
横で見ている子猫のミュウはちょっぴり不満気。
「ぼくだって いそがしい」とつぶやいています。
おだんごもたくさんできたし、野原にいってすすきの穂ももらってきたし、お供えの柿、栗、ぶどうも用意しましたよ。準備は万端です。
それなのに空には大きな雲が広がって、どっかりと動かなくなりました。
お月見ができなくなる、と、えっちゃんが心配していると、となりの部屋で物音がします……。
なんと、ミュウが青いハチマキしめて、「いそがしい、いそがしい」とおもちゃばこからおもちゃをぽいぽい投げ出しているのです。
ミュウはなぜいそがしがっているのでしょう?
「はたらいてますよ」「さあ、えっちゃんも、のって」ですって。
ミュウがハンドルをにぎって、おもちゃばこにのった二人はどこへ行くの?
繊細なぼかしが美しい、黒井健さんの絵を堪能できる絵本。
ページいっぱいに描かれた空や、空中から見おろすコスモス畑。
すすきがたなびき、夕焼け雲がうかぶ……秋らしさいっぱいの絵が素敵です。
あまんきみこさんの文は、おばあちゃんが耳元でそっとお話をしてくれているような、味わいがあります。
ミュウの登場が作品にユーモアを加えています。
しっとりとしたファンタジーのお月見絵本。
「でかぐもさん」「かぜっこ」が登場する場面は、思わず見入ってしまいますよ。
あまんきみこさん、黒井健さんからの、秋の贈り物のような絵本です。
「おつきさんによろこんでもらわんと」たぬきの愉快なおもてなしに、お月さまも思わず笑っちゃう! ユーモアいっぱい『たぬきのおつきみ』
たぬきのおつきみ
作:内田 麟太郎絵:山本 孝
出版社からの内容紹介
秋になって稲穂が実り、野菜もたくさんとれました。それを喜ぶ村人たち。山のたぬきも大喜びです。さあ今日はお月見の夜です。お月様は喜んでくれるでしょうか?
「セブンの行事えほん」シリーズから『おつきみセブン』 。お月見の説明や月の満ち欠けすごろく、お団子の作り方など親子で学べる一冊
おつきみセブン
作:もとした いづみ絵:ふくだ いわお
出版社からの内容紹介
「セブンの行事えほん」シリーズの新作!
空からやってきたセブンが、
十五夜やお月見について、コミカルに解説します。
ヒーローなのにおっちょこちょいなセブンは
子ども達に愛されること間違いなし!
月の満ち欠け、お月見だんごの作り方、月にまつわる伝説まで、
お月見行事について詳しく載っています。
巻末には月の満ち欠けを取り入れたすごろく付き!
もとしたさんのユーモア溢れる文章、
ふくださんの表情豊かなセブンや子ども達の絵にもご注目ください。
「14ひき」シリーズ40周年。木の上のお月見台に夜が広がり、家族みんなで月を待つ。実りへの感謝と大きな自然に包まれる心地『14ひきのおつきみ』
14ひきのおつきみ
作・絵:いわむら かずお
みどころ
色づいた葉と、どんぐりの実の揺れる太い樫の木を登り、ねずみながらの小技を使ってお月見台作りに奮闘する子供たちの姿が、実に生き生きとしています。その光景を木の上から描写した構成は立体的で、まるで迷路を見ているかのよう。「自分たちも上ってみたい」と、うらやむ小さな読者も、きっといることでしょう。
夕日が沈み、満月が昇る場面は壮観です。ススキを飾り、月見だんごをお供えするお月見の風習を知ることができますね。
自然の気高さと、自然と共存する美しさが描かれた、日本の秋がいっぱいの作品です。
――(ブラウンあすか)
お月さまの誕生日っていつだろう? プレゼントは何がいいかな? お月さまとお話する方法、教えます『ぼく、お月さまとはなしたよ』
ぼく、お月さまとはなしたよ
作・絵:フランク・アッシュ訳:山口 文生
みどころ
「やまびこ」という自然現象がユーモラスに描かれた、可愛らしいクマくんのお話です。まったく同じ返事が戻ってきても、クマくんはそれがやまびことは知らず楽しく会話を続けます。一見、こっけいな光景に思えるかもしれませんが、静かな月夜にたたずむクマくんの、純粋で一生懸命な姿に魅了される読者も多いことでしょう。お月さまと話すときのクマくんの表情には、平安が満ちています。お月さまへの贈り物は、一体何だったのでしょう。それは、クマくんが欲しかったものでもありました。落ち着いた青が基調のイラストからは、月夜の静けさが伝わってきます。
――(ブラウンあすか)
園のみんなで準備したお月見。雲が月を隠してしまい、困ったぽんたが考えたとびきりのアイディアにご注目『おつきさまでたよ』
おつきさまでたよ
作:寺村 輝夫絵:いもと ようこ
出版社からの内容紹介
おつきみのしたくができました。おおはらぽんたは、おだんごのばんをしながら、月の出をまっていましたが……。
【動画】もっと知りたい!好奇心を育む 絵本・児童書22選
文:栗田奈緒子 編集:木村春子