ガチャガチャ市場が急拡大している秘密とは? 明日誰かに言いたくなる隠された魅力と豆知識
公開日:2023/10/11
外出中に見かけると「ほしいものはないかな……」とひと通り物色してしまう。気になったアイテムがあれば、大量の100円玉を片手にお目当ての商品が出るまで回し続ける。そう、誰もが一度は回したことがあるだろう“ガチャガチャ”だ。
他にもガチャ、ガシャポン、カプセルトイと呼ばれているガチャガチャ。そんなガチャガチャの経済学について、一般社団法人日本ガチャガチャ協会代表理事・小野尾勝彦氏が『ガチャガチャの経済学』(小野尾勝彦/プレジデント社)の中で詳細に解説している。
本書で語られているガチャガチャの魅力と、思わず家族や友人に言いたくなる豆知識を紹介しよう。
ついつい回したくなるガチャガチャの魅力
本書で述べられているガチャガチャの魅力は、以下の5つ。
・商品のクオリティの高さ
・何が出るか分からないドキドキ感
・豊富な品ぞろえ
・低価格
・ガチャガチャを回す楽しさ
いずれも「確かに」と思える魅力だが、「何が出るか分からないドキドキ感」と「ガチャガチャを回す楽しさ」に注目したい。出てくるアイテムではなく、マシーンを回すこと自体に魅力があるのが、いわばガチャガチャの真骨頂。
確かに、欲しい商品や気になるアイテムがあれば回したくなる。しかし、それ以上にただ単純に回すのが楽しい。何が出てくるのか、カプセルを空けるまで分からないのも、その楽しさに拍車をかけている。この魅力はある意味ガチャガチャならではだ。ぜひ本書で言及されている他の魅力もチェックしてほしい。
ガチャガチャ経済学の豆知識①「右肩上がりを続けるガチャガチャ市場」
日本玩具協会が発表しているデータによると、2022年度のガチャガチャ市場は610億円規模。これは、レトルトカレー市場(約533億円)とコロナの影響を受けたカラオケ市場(約580億円)を上回るほどという。
2012年度のガチャガチャ市場は270億円程度だったので、この10年間で2倍以上拡大。特に、ここ2年はコロナショックがプラスに働き、約200億円もの増加を見せている。今後も拡大が見込まれ1000億円突破も夢ではないのだとか。引き続きガチャ市場に目が離せなそうだ。
ガチャガチャ経済学の豆知識②「マシーンの台数は○○の3倍以上」
全国に置かれているガチャガチャの数も本書では紹介されている。その数はなんと推定60万台強。郵便ポストはおよそ18万台ということを考えると、3倍以上もの差がある。
ガチャガチャの設置場所に関しては推定7万カ所。コンビニが約5万7000店と言われている。コンビニよりもガチャガチャが置かれたスペースの方が多いと考えると、かなり驚きではないだろうか。駅やショッピングモール、レストランなど至るところに複数台設置されているのを目にするが、ここまで多いとは個人的に想像以上であった。
ガチャガチャ経済学の豆知識③「ガチャガチャの起源」
ガチャガチャは今や日本の文化の一つと言っても過言ではない。そんなガチャガチャが生まれたのは、実は日本ではなくアメリカなのだという。1880年代のアメリカ・ニューヨークで、チューインガムやキャンディ、鉛筆、香水などが無人販売機で販売されていたのがルーツ。それが駅のプラットフォームやタバコ屋に設置されていたそう。
1940年代になると、玩具を入れて販売するようになり、1965年には日本のガチャビジネスのルーツとなる「株式会社ペニイ商会」が創立。ここから日本のガチャガチャの歴史が始まったという。ちなみにペニイ商会の創立記念日の2月17日は「ガチャの日」に認定されている。
スマホのソーシャルゲームで、キャラクターやアイテムの抽選をすることを「ガチャを回す」と表現する。言葉の語源となるほど、当たり前の存在になっているガチャガチャ。現在急激に拡大しているガチャガチャ市場は、今後どこまで大きくなるのか。楽しみでならない。
文=冴島友貴