文章力に自信がない人はカンニングせよ!コピペでOKな文章術のまとめ本のマネをすれば「文章がうまい」と思われる
公開日:2023/10/18
SNS最盛のいま、文章力を高めたいと思っている人も多いと思う。しかし、文章はそう簡単には上手くならない。筆者はライターを15年やっているが、そりゃもう、笑っちゃうくらい上手くならない。いい文章を書きたいと、朝から晩までそればかり考えていても、道は非常に険しい。
勉強しようと考えた。しかし、勉強の仕方がわからない。文章術の本を読み漁るも、実際に書くとなるといまいち活かしきれない。漢字検定1級のテキストを買ってみたものの、変態かと思うような難語ばかりで実用的ではない。そんな中、「コピペでOK!」という帯に惹かれて手に取った本が、実に秀逸だった。『マネするだけで「文章がうまい」と思われる言葉を1冊にまとめてみた。』(山口拓朗/すばる舎)――。
「もさることながら」「ともすれば」など、最初は「そんなの知ってるよ」と思ったのだが、読み進めるうちに「書くとなると意外と書けないかもしれない」と思い始めた。著者も「『知っていること』と『使えること』の間には天と地ほどの差があります」と述べている。
とくに第3部の「文章が1ランクレベルアップする『テーマ別』便利フレーズ26種」は、かなり使える。おそらくだれもが知っているが、実際にさらりと書ける人は多くはないであろうフレーズばかりなので、一部紹介したい。
◆「結論」に関する表現
・「あげく(に)」……いろいろ試したけど/とうとう最後に
例:半年間考えたあげく、転職しないことにした。
・「つまるところ」……要するに/結局
例:つまるところ、文章作成とは、自分と向き合う営みなのだ。
・「ひいては」……それがもとになり、さらに進んで/さらには
例:健康を保つことは自分のため、ひいては家族のためでもある。
・「ずじまい」……~しないで終わる
例:せっかく海まで行ったのに、泳がずじまいだった。
・「きたす」……(ある事態や状況)を招く・引き起こす
例:このままでは、業務に支障をきたすかもしれません。
◆「心情や事実の強調」に関する表現
・「てたまらない」……非常に~/我慢できないほど~
例:机の角にひじをぶつけた。痛くてたまらなかった。
・「てならない」……抑えられないほど~/ひどく~
例:老後資金がいくらあればいいのか心配でならない。
・「てはかなわない」……とても~で嫌だ/とても~で困る
例:まだ6月なのに、毎日この暑さではかなわない。
・「てやまない」……心から~ている/すごく~ている
例:定年退職してからというもの、父はカメラを愛してやまない。
・「まして(や)」……言うまでもなく/なおさら/いわんや〈否定で〉
例:まだ技術を十分に習得できていません。ましてや人に教えることなど不可能です。
・「(こと)この上ない」……これ以上ないくらい(とても)~だ
例:彼の作品は美しいことこの上ない。
・「を禁じ得ない」……~という気持ちを抑えることができない
例:A社が倒産したとは……。驚きを禁じ得ない。
おそらく「そんなの知ってるよ!」と思われたと思う。しかし、いざ自分が書くときにその言葉が自然と出てくるかどうか考えてみてほしい。意外と出てこないのではないだろうか。繰り返しになるが、「知っていること」と「使えること」の間には天と地ほどの差がある。
本書に収録されているフレーズを暗記するもよし、辞書代わりに使うもよし、“コピペ”するもよし。ワンランク上の文章を書きたい人にぜひともオススメしたい一冊だ。
文=尾崎ムギ子