ロシアはなぜウクライナに侵攻したのか…? 池上彰の新書『歴史で読み解く!世界情勢のきほん』でひもとかれる各国の思惑とは
公開日:2023/10/13
日本が令和を迎えたタイミングで、世界情勢には大きな変化が…。とりわけ2022年から続くロシアのウクライナ侵攻は、電気や原油、食料品の高騰などをもたらし、対岸の火事とは言っていられない状況となった。
そうしたニュースを日々目にする機会が増えたが、ほかにも知っておくべき各国の情勢は数多く存在する。それらの情報を効率よく学べる入門書としてオススメしたいのが、2023年10月4日(水)に発売された『歴史で読み解く!世界情勢のきほん』だ。
同書はテレビ番組などで活躍するフリージャーナリスト・池上彰氏が手掛けた一冊で、歴史や地政学の観点から各国の思惑をひもといている。ちなみにここでいう地政学とは、「その国が置かれている地理的立場によって政治的状況が形成される」ことを分析する学問を指す。
たとえば渦中のロシアやウクライナ、ほかにもポーランドやドイツといった国は陸続きであるため、侵略を受けやすい地理状況といえる。一方、日本やイギリスといった海に囲まれている国は、周囲の国家から侵略を受ける危険性が少ない。
ただ、地政学だけでは複雑な世界の動きを理解しきれない。それぞれの国家や国民意識がどのように生まれたのか、その歴史をひもとくことで、世界情勢を深く理解し、これからの世界の動きを予測することが可能となってくるのだ。とくに気になっている人が多いであろうロシアのウクライナ侵攻に対する疑問も、同書を読み込むことで一気に理解が深まるだろう。
さらに『歴史で読み解く!世界情勢のきほん』では、近年世界中に優秀な人材を輩出しているインドの情勢についても言及している。政界でいえば、イギリスのリシ・スナク首相やアメリカのカマラ・ハリス副大統領はインド系。IT業界においてもマイクロソフトのCEOであるサトヤ・ナデラやGoogleのサンダー・ピチャイも同国にルーツを持っているそうだ。
これだけインドに優秀な人材が多い理由として、池上氏は「社会インフラも十分ではなく、実に多種多様な民族や宗教が渦巻く中でのし上がってきただけに、海外でも能力を発揮できている」と語っている。またインドがIT業界に多くの人材を供給している理由については、「インド特有のカースト制度」を要因の一つに挙げている。ITが最近の職業でカースト制度に定められておらず、能力があれば誰でも就けるため、人材が集まりやすいことを指摘していた。
このように各国の情勢はもとより、その背景にある疑問点にまでわかりやすく言及されているため、世界情勢に対する理解が深めやすい。実際に同書を手に取った人からは「いま各国はなぜこのような状況なのか…というところにまで踏み込んでいて実に興味深い」「池上先生の説明が本当にわかりやすいので、世界情勢に対する理解が深まりました」「新聞やテレビではわからない国際情勢、世界の歴史、グローバリズムがすっきり見えてくる」などと、さまざまな感想が集まっている。
現代の日本の教育では、他国について集中して学ぶ機会はそう多くない。現役世代のリスキリングにはもちろんのこと、より一層見聞を深めるという意味ではシニア層にもオススメしたい一冊だ。