雷に打たれると目の前が真っ白になって後ろへ吹っ飛ぶ? 九死に一生を得た体験者55人のリアル体験談

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更新日:2023/11/10

死ぬか生きるか 海・山・川 絶体絶命アウトドア体験談55
死ぬか生きるか 海・山・川 絶体絶命アウトドア体験談55』(つり人社書籍編集部/つり人社)

 涼しい秋は、アウトドアレジャーを満喫するのにピッタリだ。自然の中で体を動かすのは、とても気持ち良い。しかし、自然の中でのアクティビティには、危険がつきもの。危険要素を知った上で、アウトドアレジャーを安心・安全に楽しみたい。

死ぬか生きるか 海・山・川 絶体絶命アウトドア体験談55』(つり人社書籍編集部/つり人社)は、近年ブームのアウトドアレジャー…キャンプ、ハイキング、釣り、海水浴、登山などにおいて、絶体絶命のピンチに遭遇したものの奇跡的に生還した55人のリアル体験談をまとめた一冊。危険生物、自然の脅威、毒、事故、人同士のトラブル、思わぬアクシデントというように、章ごとに複数の貴重な体験談が綴られている。

 例えば、コロナ禍で一気に趣味人口が増えたといわれる「釣り」関連に絞って見ても、次のようなトピックが収録されており、釣りに親しむ人なら一度くらいは遭遇しかけた、あるいは、いつか遭遇するかもしれないから知っておきたい内容が一つはあるように思う。

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・オニダルマオコゼを踏む
・雷に打たれた
・サバの生食でアニサキス中毒
・手漕ぎボートに漁船が衝突
・岸からの投げ釣りオモリが頭に直撃
・消波ブロックから転落
・ルアーのハリが指を貫通
・釣りバリが目に刺さる
・電線に触れて全身大やけど

 いかがだろうか。ルアー釣りをする私としては、雷雲が近づき竿に電気が走ったことや、ハリが返しまで指に食い込んだことがあり、各体験談を真剣に読み込んだ。雷に打たれると目の前が真っ白になって時には後ろへ吹っ飛ぶことがわかったり、アニサキス中毒になると数分おきに胃袋がギューッと拳骨を握りしめるように固まったりするらしい。各体験者が語る予防策や反省も参考になる。

 釣りトピックの中でも、特に関心を引かれたのが、上記の羅列には出していないが「冬の海に転落」というものだった。体験したエリアが私のホームに近い、ということと、これから寒くなるシーズンにおいて他人事とは思えなかったというのが強く関心をもった理由だ。

 この体験者は、当時、冬場の夜通しシーバス釣りに明け暮れており、工業地帯の温排水の影響で12月でも釣れ続ける大阪南港の自分だけが知る秘密スポットで釣っていた。

 この話はかなり昔のことで、今のように陸っぱりであってもライフジャケットを装着する、という常識が定着していない時代のことだったらしい。一人でスポットへ向かう途中、足を踏み外した体験者は極度の寒がりで、上は7枚、下は5枚の厚着。落水すると衣類が海水を吸って重くなり、泳ぐことはおろか、まともに身動きすらできそうにない、という。

 なんとか壁にへばりついている状態の体験者に、さらなる悲劇が重なる。なんと、しがみついている手にフナムシがびっしりと張り付き、噛み付いてきたという。私としては見慣れたフナムシだが、噛み付いてくるのかと知ると見る目が変わってしまった。

 体験者は結局、4時間後に発見され引き上げられた。そして、あのときのフナムシに今でも感謝している、と述べる。噛み付いてくる痛さと鬱陶しさが意識を保たせてくれて、冷たい海に沈むのを防いでくれたからだそうだ。

 体験者の赤裸々な体験談を、私たちは自分の身を守る糧として、ありがたく活用したいところだ。

文=ルートつつみ(@root223