大谷翔平選手「憧れるのをやめましょう」と言った時の気持ちは? 常に挑戦し続ける男の、心をアツくする名言たち!

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公開日:2023/10/20

大谷翔平語録
大谷翔平語録』(斎藤庸裕/宝島社)

 2023年、世界中が熱狂したWBC。その日本代表・侍ジャパンの中心にいたのが大谷翔平選手だ。今年は日本人初の大リーグでのホームラン王を獲得するという快挙も成し遂げ、どんなことも諦めずに乗り越えていく姿は、私たちに勇気を与えてくれる。

 そんな大谷選手を2018年のメジャー移籍から6年間取材した著者・斎藤庸裕氏が、数々のインタビューの中から心に響く言葉を集めたのが『大谷翔平語録』(宝島社)だ。その中から、悩んだときや立ち止まったときに思い出したい大谷翔平の言葉を紹介しよう。

失敗して落ち込みそうなときに胸に刻みたい言葉

 メジャーへ移籍して1年目、ジャスティン・バーランダー投手、ゲリット・コール投手と対戦したものの全く歯が立たなかった大谷。夢見た舞台での早速の挫折に普通なら落ち込んでしまいそうだが、彼は違っていた。

トップクラスの2名とやれたということは自分にとってはよかったと思いますし、いくら払ってでも経験する価値のあることなのかなと。それくらい素晴らしい投手だなという感じはしたので、これを自分にどうプラスにしていくか

 歯が立たなかったことに落ち込むのではなく、その中からプラスになるものを見つけていく。このマインドは、2021年に全米野球記者協会の投票で選ばれるリーグMVPとなったときのインタビューでも感じられる。

毎日、毎日、試合があって、よかった、悪かったという結果が必ず出てくるので。今日はここがよかったな、ここが悪かったなっていうのが、出てくるってことは、すごい幸せなことじゃないかなと思っているので

 失敗にばかり注目せず、失敗と成功の繰り返しを楽しむこと。私たちの仕事や日常生活にも取り入れたい考え方だ。

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目標へのモチベーションを見失いそうなときに効く言葉

 大谷選手は「世界一の選手」になることを目標にしている。2021年にリーグMVPになったとき、「目標とする世界一の選手になれたのか」というインタビュアーの質問に、

なってはないですね。自分でそう思う日はおそらく来ないと思う。目標としてはアバウトというか、そういう目標ですけど、ゴールがない分、常に頑張れるんじゃないかなと。確実にステップアップはしたと思ってますし、今回の賞はその一つだと思うので、今後のモチベーションの一つになりました

 と答えている。世界一の選手という大きな目標に、このタイトルを取ればという明確なゴールは無い。だから、常に上を目指せる。この考え方が、大谷選手の強さの秘訣なのだ。

 2023年はWBCで侍ジャパンを3大会ぶりの優勝に導き、大会MVPも獲得。今度こそ世界一になったと思われたが、インタビューでは「一つの通過点。目標が達成されたわけではない」と答えている。この先どんな挑戦を見せてくれるのか、ワクワクさせてくれる力強い言葉だ。

何かに挑戦するときに勇気をくれる言葉

 2023年のWBCで話題になった、決勝試合前の声出しでの言葉。今後も語り継がれるであろう名言だ。

僕からは1個だけ。憧れるのをやめましょう。野球やってれば誰しもが聞いたことあるような選手たちがやっぱりいると思うんですけど、今日一日だけは、憧れてしまったら超えられないんで。僕らは今日超えるために、トップになるために来たので。今日一日だけは彼らへの憧れを捨てて、勝つことだけ考えていきましょう。さあ行こう!

 大谷は、試合後に改めてその言葉の真意を語っている。

ただでさえ素晴らしい選手たちのラインアップを見るだけで、尊敬のまなざしが弱気な気持ちに変わることが多々あるなかで、今日一日だけはそういう気持ちを忘れて、対等な立場で、必ず勝つんだという気持ちをみんなで出したいと思っていました

 二刀流というプレースタイルをはじめとして、大谷選手の進む道はまさに前人未到。それは憧れで終わらせず、戦う前に諦めず、挑戦していくことで叶えられてきたものなのだ。

 本書では、大谷選手のメジャーでの活躍や挫折が語られている。過去6年間、何度も日本で話題になった大谷選手が、そのときどんなことを考えていたのか。数々の言葉から感じられる。写真がふんだんに掲載されているのもファンにはうれしいポイント。読むたびに元気が湧いてくること間違いなしだ。

文=冴島友貴