誰でも炎上を招く可能性がある時代。火に油を注がないため、謝罪に臨む前に知っておきたいこと
公開日:2023/10/27
誰もが炎上、謝罪のリスクを抱える時代だ。企業や芸能人の不祥事による謝罪は度々ニュースで見かけるが、私たちも他人事ではなく、SNSでのなにげない投稿で火が付き、あっという間に不特定多数から責め立てられる可能性もある。
生きていれば、大なり小なり“過ち”は犯すものだ。ただ、大切なのは事後でいかにして適切な「謝罪」をするかにかかっている。書籍『謝罪の作法』(増沢隆太/ディスカヴァー・トゥエンティワン)は、SNSに限らず、日常でも役立つ謝罪の心得を学べる一冊だ。一部引用して、その内容を紹介する。
謝罪するなら「誰」に訴えるかを明確に
謝罪しても反発を生むケースもある。いわば失敗だが、いずれのケースも謝罪に必要な要件が満たされていないとされる。
例えば、政治家の失言や芸能人スキャンダルのニュースでは、世間を相手に謝罪するケースも目立つ。ところが、これは悪手だ。本書は「自分に投票してくれた有権者」「CDやダウンロードなどで音楽を購入してくれたお客さん」など、具体的な対象へ訴えかけるように求める。
対象が明確ではない謝罪は、反省の姿勢を見せるためのセレモニー程度にしか見られない可能性もある。自身が「誰に対して謝罪しているのか」をしっかり伝えてこそ「本来の謝罪」だという。
タイミングも大事で、想像にはたやすいが遅くなればなるほど事態は深刻化するため、謝罪するなら早めが必須。ただ、事態が完全に把握できず、何が起こっているのか、何が原因で、この先どうなるのかといった、基本的な情報がそろわない段階での謝罪はかえって反感をくらいかねないため、慎重な判断も必要となる。
ネットでの謝罪は二次利用されると覚悟を
ネットでは、パッと見の印象や勝手なイメージが先行し、「よく見てくれれば」「よく聞いてくれれば」という発信の仕方では、相手へ真意が伝わらない。そのため明確でシンプルな情報の出し方が重要という本書の指摘は、うなずける。
また、ネット上で謝罪する場合は二次利用も覚悟しておく必要がある。
今や、SNSで拡散されるのは避けられない。ひとたび、ネット上にアップされた情報は半永久的に残り続けるし、ともすれば伝言ゲームのように広まり、尾ひれが付いて当初の内容がねじ曲げられるというリスクも肝に銘じておかねばならない。
もしあなたが謝罪するなら「真意がそのまま伝わらない可能性を予期して、できる限り誤解の生じにくい、変容しにくい明確でシンプルなメッセージ」を発信しなければならないのだ。
本書では、企業不祥事の実例なども取り上げながら、まさしくタイトルのとおり、謝罪の作法を学べる。
もちろん、使う機会がないに越したことはない。ただ、誰でも直面する可能性はある。謝罪の原因発生から後始末までの流れで、何をするべきか。何となく理解しているだけでも、いざというときにきっと役立つはずだ。
文=カネコシュウヘイ